セトリングって何だ ? [ 後編 ]

ログハウスに興味を持つようになったら、セトリングという言葉を聞く機会があるはずだ。 今回は、自然素材の木をほぼそのまま使うログハウスならではのこの現象について学んでみよう

取材協力/(株)TALOインターナショナル、Feelログハウス・(株)フェニックスホーム、(株)ビックボックス、(株)ホンカ・ジャパン

ビックボックス

建具上部の空間がセトリングスペース。左右はログ材の木口に入れた縦溝に、建具のT 字型のパーツを差し込みスライドさせる

豊富な建築実績を持つログメーカー、ビックボックスの場合、約280㎝の高さのログ壁で、ラミネートログなら30.40㎜、無垢ログなら40.50㎜のセトリング量を想定。ログ材ではない間仕切り壁などは、余裕を持って約70㎜の下がり代を確保し施工しているそうだ。

デッキ部などの柱は上部にジャッキボルトを設置し、ログ壁の下がりに合わせ高さを調整。見映えを考え、木製カバーもつけている

また、建具まわりや階段などもしっかりとセトリングに対応。デッキの屋根などを支える柱にはジャッキボルトをセットしているが、このジャッキボルト部分はむき出しにせず、木製のカバーを取り付けて意匠にも気を配っている。

ログ壁とは、このスライド金具を使って直接固定せずに施工。ログ壁がスムーズに落ちるよう工夫されている
間仕切り壁も、想定分のセトリングスペースを設けて施工。天井側の部材とは固定せず、スライドする仕組みになっている

ホンカ・ジャパン

世界でも最大規模を誇るログハウスメーカー、ホンカ・ジャパンは、フィンランド産のパインを独自の技術で乾燥させることで、セトリング量が極めて少ない高精度ログを実現。施工においてもセトリングに対応した方法を確立している。

セトリングしないFXL ログなら、窓のセトリングスペースを隠すボードも不要なため、スタイリッシュなデザインが可能

さらに、セトリングがほぼないノンセトリングログを世界で初めて開発。このFXLログは、繊維方向が垂直の材を中央部に挟むことでセトリングをなくした画期的なラミネートログ材で、業界で初めて特許を取得している。すでに10年以上にわたり使用されており、その優れた性能も証明済みだ。

階段は、上部をスライド金物で2階床と接合している。床が下がってきても自動でスライドするので、メンテナンスは不要だ
建具上部のセトリングスペース。断熱材が充てんされ、防水テープなどですき間がふさがれている見えない部分にも気を配っているのがわかる
ノンセトリングでない通常のログ材を使用する場合でも、セトリングスペースを確保し、建築後に不都合が出ないように施工している

TALOインターナショナル

TALOインターナショナルのログハウスといえば、総2階。通常のログハウスだと2階は在来工法で造られるため壁も板張りや塗り壁になるが、2階までログ壁を積む総2階なら、どこにいても本物の木の風合いが感じられる。

妻壁と天井の取り合い部の天井廻り縁は、妻壁でなく天井側に固定。桁側の廻り縁をスライドさせおさめる

総2階の場合、妻壁の最上段までログ材になるので屋根の勾配部分にもセトリング対策が必要となるのだが、妻壁と天井を固定しない施工法により、問題が起きないようにしている。また、階段部、建具など、ほかの部分も最小限のメンテナンスで済むようセトリング対策は万全だ

室内外の支柱の上部または下部にジャッキボルトを取りつけ、高さを簡単に調整できるようにしている

Feelログハウスフェニックスホーム

中央部分に繊維方向を縦にした材を入れ挟み込むことで収縮を抑え、セトリングをほぼ解消。これまで不可欠とされていたセトリング対策を不要にした

これでセトリング対応の施工もメンテナンスも不要になったうえ、セトリングスペースを取らずに済むため、家の気密性が格段に向上。これは次世代のログハウスといえそうだ。

世界で注目されるCLTという木質の高強度素材を使ったログハウスも開発済み。5階建ての高層ログハウスも視野に入れ、さらに研究開発を進めているという

構成・取材・文/原 太一、イラスト/内藤しなこ

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