木立に似合う白いログハウスでのんびり快適な別荘ライフ

「自然が大好きで木の家を建てて暮らしたい」。そんな思いを実現したオーナーの暮らしぶりをのぞいてみた。思い思いに楽しむ自分流のナチュラルな暮らしと、そんなライフスタイルに似合う素敵な住まいを紹介しよう。

長野県・小林さん

設計・輸入・施工/(株)ティーエージー

別荘ライフを快適にする工夫の詰まったログハウス

ログハウスがあるのは田舎の集落の小高い雑木林の中。カエデやヤマザクラ、クリなどの広葉樹の林なので四季の移り変わりを楽しめる

グレーの壁と片流れ屋根がスタイリッシュなマシンカットは、長年ログハウスの仕事に携わってきた小林さんの別荘だ。 「別荘を持つ気なんて全然なかったのだけど、たまたま紹介されたこの土地の、北信五岳を眺められる景色の素晴らしさにひと目ぼれして別荘を建ててしまいました」。というわけで、自宅から少々遠い距離を、ときに家族と愛犬と、ときにはひとりで、頻繁に訪れている。

デッキに面した大きな窓は西向き。冬に木々の葉が落ちると北信五岳が一望できる

ログハウスのプロフェッショナルだけあり、この家にはデザインの美しさだけではない、快適に暮らすためのさまざまな工夫が盛り込まれている。 例えば景色を望む大きな窓。「大きな開口部は南に設けるのが一般的とされますが、寒冷地では西に開いたほうが、寒い冬に太陽の熱をたくさん取り入れられます」と小林さん。敷地的にもちょうど五山を望む方角が西だったので眺望を得るにも都合が良かったのだそう。

吹き抜けを大きく取り、2階はフレキシブルに使えるホールのみ。来客時の寝室などに使う

この家の特徴でもある片流れ屋根は、積雪の多いこの土地で雪を落とすのに必要な勾配を確保。「傾斜が強いほど雪は落ちますが、この家だと5寸勾配ではデザイン的にカッコ悪いので4寸勾配にしています」と、おしゃれなデザインにも実用的な理由がある。さらに「自然暮らしに虫はつきものだけど、家の中には絶対に入れたくないので虫の侵入防止対策は徹底的に行いました」という工夫まで。間取りは必要最小限。ワンベッドルームで、浴室は設けずシャワーブースのみと潔い。

必要なものだけを配置したシンプルな間取り。「自宅のログハウスは子どもの個室も造りましたが、独立すれば必要なくなるし、ここのように最小限の間取りでも良かったかも?」と小林さん

ここでの過ごし方はいたってシンプルで、仕事は持ち込まず大好きな音楽を大音量で聞いたり、愛犬と付近の山を歩いたり、のんびり過ごすのが定番。ただ実際には「訪れてから1~2日は夏は草刈り、冬は雪かき、落ち葉掃除や家の手入れもあるし、けっこう忙しい。でもたまにはそんな作業をして無心になるのもいいですよね」と、ログハウスでの自然暮らしを楽しんでいる。

【  Detail  】

≪LDK≫

片流れ屋根の高い側にリビングがあり、高窓も設けている
リビングにはオーディオシステムと薪ストーブを設置。ストーブはダッチウエストのFA265。右手の壁には、数種類のスピーカーが配置されている
ログハウスの仕事を始める前に、音楽出版の仕事をしていた小林さんはクラッシックファン。「部屋の形と木の壁や天井の特性を考慮して、スピーカーを選び、配置しました。周囲を気にせず、大音量でいい音を楽しんでいます」
キッチンを壁際に1列に配置することで、リビングダイニングを広々確保できた。実用に徹しすぎないオープン棚のキッチンもおしゃれ
リビングから見たダイニングキッチン
窓はフィンランド製の木製サッシ。虫の侵入をシャットアウトするためテープなどを用いて工夫した結果、この自然豊かな環境にあって虫の侵入は今のところ皆無

≪寝室≫

この家の個室は、この主寝室のみ。サニタリールームへは、玄関ホールとこの寝室の両方から出入りできる。とても配慮の利いたプラン

≪サニタリー≫

付近に良い温泉施設がたくさんあるため、家に浴室は設けずシャワーブースのみ設置。別荘とはいえ「風呂なし」の選択ができるのは、必要なものを見極める長年の家づくりの経験によるもの 

≪玄関≫

玄関ホールと、その両サイドに配置したトイレ、サニタリールームの床は白いタイル敷き

≪外まわり≫

左・右/ログハウス建築後にウッドデッキ上に造ったフィンランド式のサウナ小屋。コンパクトなログハウスも、サウナストーブもベンチも、すべてフィンランドから輸入したもの
広いウッドデッキは縦桟だけの囲いが個性的。ログハウスもウッドデッキも、材はフィンランド産。このデッキで食事をとることもある
薪ストーブの煙突はシンプルな丸トップ。屋根に積もった雪が室内の熱で溶けて凍りつくとやっかいなので、屋根の断熱には気を配った
敷地の入口にはイタリア製の泥のレンガを自ら積んだ

【DATA】 ●使用目的/別荘 ●家族構成/夫婦 ●使用ログ材/パイン(W12.0×H18.5cm) ●ストーブ/ダッチウエストFA265 ●敷地面積/6500㎡(1960坪) ●床面積/1F 60.0㎡(18.15坪)、2F 20.0㎡(6.05坪)、延床面積 80.0㎡(24.2坪) ●総工費/2900万円+税

取材・文/たむらけいこ、写真/関根おさむ