日本で開花したフィンランドログハウスの歩み【その④】

日本のマシンカットログの多くは、今も昔もフィンランド製。本国では1950年代に登場したマシンカットログは、いつから日本に建てられ、どのような発展を遂げたのか? 事情をよく知るおふたりに伺った。

これからの時代にふさわしい本当の木の家

【2001年】 TALOインターナショナルは、2001年世田谷区成城に、2005年兵庫県三田市に総2階建てログの展示場をオープン(写真は成城展示場。現在は閉場)

フィンランドログに長く携わってきたおふたりが同じように口にするのは、フィンランドログの精度の高さだ。「どんな設計にも対応できる精度の高さがあるので、あらゆるニーズに応えることができるし、多種多様なデザインのログハウスを送り出すことができるのです」と言うのは高柳さん。「特に近年は、ログメーカーが大規模化していて、最新鋭の機械を用いた最先端の技術でログハウスが作られています」。

【2003年】 住宅使用を見据えた都市部の展示場「ホンカ東京デザインセンター」には2階建てログハウスが建てられた(現在は閉場)

そしてマルコさんは「ホンカのログはヨーロッパやアジアなど世界中に建てられているので、各国からさまざまな意見がフィードバックされます。もちろんクレームもあります。それを受け、またログが進化していくのです」と語る。

【2004年】TALOインターナショナルが行った実験により、外壁に45分の耐火性能が認められ、認定取得

そしてもうひとつ共通しているのが、技術やデザイン性の高さではなく、ログハウスの本質的なこと。なぜログハウスにこだわり続けているのかといえば、それが健康的な家であり、環境と共生できる家であるからだ。

ホンカ・ジャパンが建てた、日本初のノンセトリングログの施工例。従来のようなセトリングスペースが不要に。設計の自由度が上がった

マルコさんは「家を建てるなら、健康や環境に重点を置きたい。それができるのがログハウスです。フィンランドでは今、子どもや老人の施設にログハウスが多く使われています。ログハウス本来の良さが周知されているからでしょう。本当の木の家として、日本でももっともっと、ログハウスの良さをアピールしていきたいですね」と語る。高柳さんもまた、会社設立当時から、環境共生と健康住宅を大きなテーマとしてきた。「環境や健康について、昔よりも多くの人が関心を持つ時代になっているので、科学的根拠をもってログハウスの良さを伝えていきたい」という。 これからの時代にこそふさわしいのが、高い性能を持つ木の家、フィンランドログハウスなのかもしれない。

【2010年】 高い気密性と水密性を誇る、ホンカの「カーブノッチ」
構造部と開口部の位置を変えることで実現した、全面ガラスの「カーテンウォール」。2021年にTALOインターナショナルが特許を取得

お話をうかがったのは…

取材・文/たむらけいこ、写真提供/㈱TALO インターナショナル、㈱ホンカ・ジャパン

関連キーワード