明るく開放感あるLDK。暮らしやすい間取りで毎日の生活が豊かになる

ログハウスは建てて終わりではなく、生活の楽しみを受けとめ、ふくらませる大きな器のようなもの。家族と一緒に歴史を刻み、より魅力的になってく。オーナーによってそれぞれ異なる好みを反映して生まれた魅力的な住まいと、その暮らしぶりを紹介しよう。

千葉県 小山さん

設計・輸入・施工/(株)ティーエージー

心地良く料理ができるアイランドキッチン

「実際の広さ以上に開放感が感じられる設計を目指しました」とご主人。まさに、その言葉通りの住まいとなっている

千葉県の閑静な住宅街に建つ小山邸。白くさわやかな外観が、住宅が立ち並ぶなかで、ほど良く個性的な佇まいを見せている。 オーナーの小山和剛さんは、北欧の木の家を手がけるティーエージーで、営業と設計を兼任。その経験を生かし、自分が思い描いた住まいを形にした。 「あまり大きすぎる家だと掃除も大変ですし、狭すぎず広すぎず、窓があるべきところにあって日差しが入る明るい家にしました」と小山さん。また、奥さまの花さんは、キッチンに立ったときに全体が見渡せる間取りや、キッチンやサニタリーを近くした生活しやすい動線にこだわったそうだ。

キッチンは家の中心。ここに立つとリビングまで見渡せる。クロームカラーの照明は、アートワークスタジオのもの

まず、玄関ホールを抜けてダイニングに入ると、目に入るのが大きなアイランドキッチン。シャープな印象のステンレストップで、奥さまの希望通り、ここに立つとリビング全体を見渡すことができる。そして、料理がすぐ出せるすぐ隣の位置にダイニングテーブルがセットしてあり、ここでふたりで好きなお酒を楽しむことも多いという。

キッチンのすぐ脇にダイニングテーブルがあって、配膳や片づけがしやすい。ここの照明には、ルイスポールセンのPH 5を選んだ

ダイニングを抜けてリビングに入ると、高く広い吹き抜けになっていて、大きな開放感に包まれる。さらに、天窓や妻壁の三角窓など、各所にある窓から日の光が効果的に入ってきて、明るさも十二分。思わず深呼吸したくなるような、さわやかな空気に満ちたリビングとなっている。

リビングは高さのある吹き抜けになっていて、開放感抜群。また、各所に窓が配置してあり、とても明るい空間になっている

室内全体は、壁が白いクロス張り、床がオーク、天井が無垢のログパネルで、北欧風のナチュラルな雰囲気といえる。しかし、ブラックカラーのアイアンの手すりや照明をはじめとするモダンなインテリアが空間をほど良く引き締めており、スタイリッシュで、なおかつリラックスできる空間をつくり出している。 ほかにも、段鼻の出をなくした階段やたっぷりの収納スペースなど、細部まで意匠や住み心地にこだわった小山邸。住まいづくりのお手本となる、理想の木の家といえそうだ。

【  Detail  】

≪リビング≫

白壁と木の天井のコントラストが美しい。斜めにかかる火打梁は、家の強度を高めるだけでなく、デザインのポイントにもなっている
奥さまの好みで、段鼻の出をなくし、シンプルなデザインにした階段。これで室内の印象がモダンになった。手すりは黒いアイアン製だ

≪ダイニング≫

ダイニングテーブルの後ろに、ちょっとした作業ができるテーブルを設置。その隣のドアの中は収納スペースになっている

≪サニタリー≫

サニタリーのドアは引き戸。キッチンとの距離を近くし、行き来が楽にできるようにしている。暮らしやすい家事動線を考えた設計はさすがだ
清潔感ある洗面所。本来ダブルボウルにしたかったが、その分掃除も大変になるため、幅広のボウルに蛇口をふたつつけたそう

≪2階≫

リビングを見下ろす位置にある2階廊下。ここにも明るい光が差し込む。正面に見えるドアからは、ベランダに出ることができる
2階にはベッドルームが3部屋。ここは将来子ども部屋として使う予定だそうだが、現在はご主人が一級建築士の資格を取得するための勉強部屋になっている
メイン・ベッドルームは、壁を薄いグレーで仕上げてあり、落ち着いた雰囲気。ドーマー部分なので、天井も高い。心安らかに、ぐっすり眠れそうだ

≪玄関≫

玄関のドアは、重厚感ある木製ドア。六角形のタイルが個性的だ。ウォーク・イン・クローゼット、シューズクローゼットがあり、収納も充実
玄関ホールや階段の側部など、一部の壁に無垢のパインを使用したウッドパネルを採用。木ならではのぬくもりとナチュラルな空気感が感じられる

≪外観≫

住宅街の中にある小山邸。白いカラーリングの外観は、モダンでありながら目立ちすぎず、うまく風景になじんでいる
2台分の駐車スペースに大きな屋根をかけたカバードポーチ。天窓がついているので、覆う面積が広くても暗くなることがない

【DATA】 ●使用目的/自宅 ●家族構成/夫婦 ●敷地面積/ 141.72㎡(42.87 坪) ● 床面積/ 1F 59.62㎡(18.03 坪)、2F 50.30㎡(15.21 坪)、延床面積 109.92㎡(33.25 坪)

取材・文/原 太一、写真/武田賢士郎