【退職後に地方移住】愛知から長野県原村へ。自然豊かな八ヶ岳の麓で充実した暮らしを楽しむ

自然に囲まれて暮らしたいが、かといって山奥で孤独に自給自足するのはキツいもの。その気になれば都市部へのアクセスが悪くない、ほどほどにのどかでそこそこ便利な「プチ田舎」の人気が高まっている。街中では味わえないその土地ならではの楽しみを取り入れて、もっと人生を豊かにしてみよう。

長野県 伊藤さん

設計・輸入・施工/夢木香㈱

「長生きするのは私のほう。女性ひとりなら、明るい家の方がいいでしょう」と奥さまに言われ、外観はかわいらしい配色にした

伊藤さんご夫妻は、退職を機に、愛犬サクラちゃんとともに愛知県から長野県の原村に移住。自然豊かな地にマシンカットログハウスを建てて暮らしている。 原村は八ヶ岳の麓のなだらかな傾斜にある村で、険しい山や谷も少なく、観光地として、また多くの人が移住する地としても知られている。伊藤さんご夫妻が住む家のまわりにも移住者が多く、ふたりをあたたかく迎え入れてくれたという。

敷地の中に、ミニログのクラフト小屋を建て、そこで木工作業をしている。そばには薪割りを待つ木のストックもたくさんあった
退職後、愛知県から長野県の原村に移住してきた伊藤さん。夢木香のマシンカットログハウスで、充実した毎日を過ごしている

「以前とは生活スタイルが大きく変わって楽しいですね。移住しなければチェーンソーなんて一生触らなかったでしょうが、新しくできた仲間に教えてもらって使えるようになりましたし、薪割りもするようになりました。割った薪がそのまま生活に役立つ、自分の仕事が生活に直結する暮らしは自分の力で生きているという実感がわきます」とご主人。奥さまも「こちらに来て、いろいろな方と知り合えました。以前は共働きで私もフルタイムで仕事をしていたので、それほどご近所づき合いもありませんでした。退職後も愛知で暮らしていたら、きっと毎日誰とも会話のない生活になっていたでしょうね」と話す。

愛機はバーモントキャスティングスのアンコール。冬はマイナス14℃くらいまで下がるそうだが、薪ストーブのあたたかさは格別だそう
明るいダイニングでパスタのランチ。昼はいつもご主人が作っている。アーチカットに描かれた八ヶ岳連峰は、「近すぎて見えない全景を見たい」というご主人のリクエストによるもの

住まいをログハウスにしたのも正解だったようで、「玄関を入ると今でも木のにおいがして癒されます。それに、とにかくあたたかいんです。愛知ではいつもこたつに入っていましたが、もうそんなこともありません」と教えてくれた。移住してまだ10 カ月ほどだが、おふたりの笑顔を見ていると、移住は大成功だったようだ。

【  Detail  】

≪リビングダイニング≫

開放感あるリビング。汚れやほこりがたまりやすい床面から排気する換気システム「エアーヒル」を採用しており、空気もクリーン
使用しているログ材は、パインを3枚張り合わせたラミネートで、高さ20.3cm。含水率が低くて割れが少なく、セトリング量も少ない

≪2階オープンスペース≫

「山小屋というイメージだったので、ここはドーマーをつけず、あえて傾斜のある天井にしました」というフリースペース
ロフトの柵の手すり子は、ご主人のリクエストで太く、X字形に。「普通は縦にまっすぐ入れますが、山小屋風にしたかったんです」
2階階段を上がった左には、本をたっぷり収納しておける造りつけの本棚がある。奥さまが集めているテディベアもたくさん並んでいる
八ヶ岳や入笠山、北アルプス、南アルプスなどに囲まれており、大パノラマが望める場所に位置する原村。窓からの眺めは雄大だ
家の強度を高める方杖や火打ち梁が各所に入っている。耐震性アップと、力強い印象を与える意匠を兼ねた設計だ

≪2階個室≫

高さが欲しい客室は、ドーマーで空間を広げた。ドアのガラスは、1枚のガラスを加工したOOKABE GLASSの次世代ステンドグラス
2階の客室は、来客が多いなら、このほうが開放的で雑魚寝もでき便利というメーカーの提案で引き戸に。これが正解だったそう

≪玄関≫

玄関を入って左手には、靴を履いたまま入れるシューズクローク。靴だけでなくさまざまな生活用具がしまっておけて便利だ
外観は、ベースとなっているホワイトに額縁の赤がアクセントとなり、かわいらしい印象。窓つきの玄関ドアもおしゃれだ

≪ウッドデッキ≫

躯体の2辺にかけてデッキがのびる。特に南東側は奥行きが3m近くもあるので、テーブルやチェアを置いてゆっくりくつろぐことができる

【DATE】 ●使用目的/自宅 ●家族構成/夫婦 ●使用ログ材/レッドパイン(W11.3×H20.3cm) ●ストーブ/バーモントキャスティングス「アンコール」 ●敷地面積/1912.41㎡(578.50坪) ●床面積/1F 83.97㎡(25.41坪)、2F 56.87㎡(17.20坪)、延床面積 170.65㎡(51.62坪)

取材・文/原 太一、写真/松井 進