スウェーデンの野外博物館「スカンセン」に見るログハウスの耐久性①

世界最古の野外博物館「スカンセン」には歴史的な価値が高い建物が約150棟集められ、その多くをログハウスが占めている。味わい深いオールドログハウスの世界をのぞいてみよう。

文・写真/押田雅博

最古の建物は14世紀のもの

一般的にログハウスの生産国といえば、北欧それもフィンランドがよく知られている。しかし、歴史的な意味合いからいえば、スウェーデンもはずせない。もともとはバルカン半島(紀元前1500年の記録がある)で生まれたといわれるログハウス構法だが、それが北欧にわたり発展してきた。アメリカやカナダなどの北米にその造り方が伝わったのが、開拓時代であり、開拓民にログハウスの造り方を教えたのが、スウェーデン人といわれている。 スウェーデン・ストックホルムにある世界最古の野外博物館「スカンセン」をご存じだろうか? 言語学者であり教育者でもあったアルトゥール・ハゼリウスが全土から古い建物を集めて展示したいと考えて、1891年に誕生した野外の博物館である。その後、何年にもわたって歴史的な建造物が集められ、その数は約150棟。そのほとんどがログハウスである。18世紀や19世紀に建てられたものが多いが、最も古いものは14世紀の建物だ。 [続く]

Skogaholm Manor

上5点/18世紀の貴族の家。母屋のほか、納屋、馬小屋などさまざまな建物がある。メイドのほかたくさんの使用人がおり、貴族の家族と一緒に住んでいる者や郊外にあるコテージなどに住んでいる者がいた

Kyrkhult Farmhouse

上3点/最初にスカンセンに移築された建物のひとつ。18世紀のスウェーデンによく見られた様式で、両側に2階建ての倉庫を備えている。真ん中の居住スペースには、炉とオーブンを組み合わせたコンロが置かれている

The Iron Master’s Farmstead and Laxbro House

上2点/18世紀の裕福な鉱山所有者の家で、ヴェストマンランドの鉱山地区にあった。すべての建物は丸太で作られ、樺の樹皮と芝生で屋根を作っている

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