街中にログハウスを建てるときに知っておきたいこと [ 後編 ]

市街地にログハウスを建てるなら、各種の法的規制を受けることになる。ここでは、ログハウス建築に際し、最低限知っておきたい法律について解説していこう。

防火規制とログハウス

住宅地でログハウスを建てるとしたら、避けて通れないのが防火に関する規制。住宅街での火災を防ぐため、都市計画法に基づき定められた「防火地域」「準防火地域」や、特定行政庁によって指定された「法22条・23条地域」では「延焼の恐れがある部分」を燃えにくい素材・構造としなくてはならない。

ログハウスの場合、かつては防火規制のある地域に建築することは不可能であった。しかし、数々の防耐火実験によって現在ではログハウスの耐火性能が正当に評価され、今では規制が最も厳しい防火地域にも、防火窓や防火ドアにするといった条件を満たせば建築することが可能となっている。

▼ 防火規制地域と認定ログの概要

現在、法22・23条地域で建築可能な「20分防火ログ」、準防火地域で建築可能な「30分防火ログ」の認定は多くのメーカーが取得。大型建築物、特殊建築物、防火地域で必要とされる準耐火構造に対応する「45分準耐火ログ」「60分準耐火ログ」の認定を取得したメーカーも増加中だ。

建てられるログハウスのタイプ

左/小屋裏部を2階とする定番スタイル。2階の外壁は、軸組み構法や2×4工法による施工が多い 中/1階のみ、またはグルニエつきの構造。ログハウスの原点ともいえる姿で、根強い人気を誇る 右/1階部をコンクリート造か鉄骨造とし、小屋裏利用の2階建てと組み合わせた、実質3階建て
左/ログを2階の桁まで積み上げた2階建て。2階部分もログ材を使った壁とすることができる 右/1階が丸太組み構法、2階は軸組構法や2×4工法で造られる。その逆パターンは不可

ログハウスに関する法律である「丸太組構法技術基準」によって規定された、建て方や階数のバリエーションは5つある。

最もポピュラーな方法である小屋裏利用の2階建てから、妻壁にもログを積む総2階建て、他の構法との混構造による2階建て、3階建てまで建築可。シンプルな平屋も人気が高い。

ログハウスの広さの制限

耐力壁と耐力壁の距離は6m以下、かつ耐力壁で囲まれた部分の面積は30㎡以下と、丸太組構法技術基準で定められている

「丸太組構法技術基準」では、ログハウスの延床面積は300㎡まで、屋根の高さは8.5mまで、ひと部屋の広さは30㎡以下とされている。こうした基準は、構造上安全なログハウスを建てるためのものなので、しっかりと認識しておく必要があるだろう。

とはいえ、構造計算を行い、安全性が確かめられれば、それを超える建築も可能。実際に、今では丸太組構法技術基準で定められた数値を超えるログハウスが数多く建築されている。特にマシンカットにおいては、ログハウスだから間取りの制限が厳しいという考えは、昔のものになりつつあるといっていい。

開口の大きさの制限

1階建てログハウスの場合は、耐力壁の高さは4mまで。2階建ての場合は6mまで。幅は高さ×0.3以上あれば耐力壁とみなされる。

窓などの開口部のサイズにかかわってくるのが、耐力壁の確保についての規定。耐力壁とは、建物の構造を支持する壁のことで、ログハウスの場合はログ壁がこれにあたる。

アーチカットは、上部の幅を開口の横幅の1/5以上、かつ30㎝以上を残す

「丸太組構法技術基準」においては、1階建ての場合はログ壁の高さは4mまで、2階建ての場合は6mまでとなり、壁の幅は高さ×0・3以上あれば耐力壁とみなされる。つまり、開口を作れるのは、それ以外の部分になるということである。

ログ材とダボ

左/原則、耐力壁のノッチは、壁面から20㎝以上出さなければならない 右/原則、2階建てなら、耐力壁のログ材の断面積が150?以上、幅9㎝以上必要

家の強度を確保するために、ログ壁の厚さや施工法についての規定も設けられている。

ボ直径13㎜以上の通しボルトと、上下のログ材をつなぐダボも必須

例えば、耐力壁のログ材の断面積や重なり部分の幅、ノッチの出の最低限の長さが決められているし、ログ壁のズレを防ぐ通しボルトやダボという補強材に関しても規定がある。

街中にログハウスを 建設するときには

法律に関することではないが、ログハウスを建てる際には、大量のログ材をストックしておくスペースが必要になることを覚えておきたい。もし、その余裕がない場合は、お隣の敷地などを借りなくてはならなくなる。また、敷地までの道が細かったり曲がりくねっていたりすると、長いログ材を積んだトレーラーが入れないこともある。

構成・文/原 太一、イラスト/長岡伸行

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