シンプルな中に極意あり! 薪ストーブの上手な焚き方【その1】

薪ストーブを導入したいけど、毎日自分で焚くことができるのか不安な人も多いはず。燃焼の仕組みや焚き方のコツなど、気になることを薪ストーブのプロに教えてもらった。今回は薪ストーブの基本的な構造と着火に必要なアイテムを紹介しよう。

取材協力/ダッチウエストジャパン(株)

スムーズな焚き方のコツは自然現象の「ドラフト」を起こすこと

ドラフトによって煙はスムーズに排出されるので、燃焼室はクリアに見える。もし煙が充満していたら、ドラフトが起きていない状態だ

薪ストーブは、鋳物や鋼板でできた箱に煙突がついた構造が基本形。この箱は燃焼室または火室と呼ばれる、薪が焚かれる場所。燃焼室で発生した煙は煙突へ排出され、その際の吸引力で燃焼室には外気が吸い込まれ薪を燃やし続ける。これが薪ストーブの燃焼の仕組みだ。 「この空気の動きはドラフト(上昇気流)によるもの。焚き始めはドラフトを起こすことがポイントになりますが、自然現象なので着火さえきちんとすればすぐに起こりますよ」と後藤さん。着火のコツは、燃えやすい細い薪をたくさん使うことと薪を組むときに空気の通り道を確保すること。実際の着火プロセスは追って紹介する。

【薪】目的別に4種類の太さの薪をストックしておこう

焚きつけ
細薪
中薪
太薪

焚き始めにはよく燃える細い薪、長時間燃やすためには太い薪が必要なので4種類くらいの太さの薪を用意する。焚きつけや細薪は油分を含む針葉樹、中、太薪は火もちがいい広葉樹が適していて、どの太さ、樹種の場合もしっかりと乾燥していることが大切。薪は、原木または短く切られた「玉切り」、割られているが乾燥前のもの、乾燥まで済んでいるものなど、さまざまな状態で販売されている。どの状態で入手するかは、予算や環境、自分で薪割りができるかどうかなどを考慮して決めよう。

【着火剤】確実な着火のために使いやすいものを選ぼう

バーナーファイヤースターター
左/ライトニングナゲッツ 右/ファイヤーライター

着火剤は、薪がしっかり燃えるまで燃焼を助けてくれるアイテム。素材や形状がいろいろあるので、ここでは3種類をご紹介。バーナーファイヤースターターはランプオイルを使用した安全な着火剤。ライトニングナゲッツはおがくずをパラフィンワックスで固めたもの。ファイヤーライターはマッチと着火剤が一体となったタイプで着火用具が不要だ。

【着火用具】着火剤に届くように長い柄つきが便利

柄の長い使い切りライター

着火剤に火をつけるライターやマッチ。火がつけば何でもいいものの、置いた着火剤をきちんと狙いたいので長さがあるほうがいい。

【ストーブグローブ】薪のトゲや火から手指を守ってくれる

革製ストーブグローブ

分厚い革のグローブもマスト。トゲが刺さるのを防げる。燃焼中に薪をくべる際、やけどしないよう手首までしっかり守ってくれるものを選ぼう。

【column】燃焼室のサイズと薪の長さの関係とは

燃焼室の広さは薪ストーブによりまちまちなので、適した長さの薪を用意しよう。平均サイズの薪ストーブでは、40cm前後の長さが最適。薪を燃焼室で組むときは、中のスペースに合わせて薪の角度や向きを変えればいいので多少は長めでも大丈夫。基本の組み方も紹介しておこう。

上2点/下に中薪か太薪を置き、上に向かって細くしていく。燃焼室にゆとりがある場合は、薪が直角に交差するよう積み上げる
上2点/燃焼室の奥行きが浅い場合は、斜めに重ねる。実際には燃焼室で組むので見えにくいが、空気の通り道が確保されているか確認を

取材・構成・文/藤屋翔子

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