自然のままの丸太を組んだ唯一無にのログハウス

長野県・宮沢さん ●設計・輸入・施工/(株)JIN

テーパーのきついログ材をあえてそのまま使用

長野市の住宅街に建つ宮沢邸。その最大の特長は、何といっても極太で荒々しいログ材だろう。ログ材の樹種はカナダ産のウエスタンレッドシーダーで、その直径は太いところだと80㎝を超えている。普通のハンドカットログハウスと比べると倍以上の太さである。

しかも、材の両端で太さが大きく違う、いわゆるテーパーがきつい材をあえて使い、形がいびつな根株の部分や節、コブも残したままで加工。この極太で野性的なログ材をバタフライサドルノッチで組み上げたログハウスは、まるでカナダの森で暮らす古の狩人が、そこにある木をアックスで伐り倒しそのまま使って建てた丸太小屋のような、ラスティックな魅力を放っている。「こういうログハウスは、普通のメーカーではやってくれません」と笑うオーナーの宮沢さん。個性あふれるログハウス実現のために、ハンドカットを得意とする軽井沢のログメーカーJINに「建てる人の感性を存分に生かして造ってほしい」とお願いしたそうだ

「デッキを広くしたいということと、リビングを広く明るくしてほしいという要望も出しましたが、あとは予算の中で自由にやってくださいとお願いしました。いい家を完成させるためには、それがいちばんいい方法だと思いましたし、実際に最高のログハウスができましたね」

宮沢邸は延床面積138m²とそれほど広くはない。しかし、ダイニングをなくしたり、トイレを狭くしたりするなど、不要だと思った部分を大胆にカット。さらに、普通はある吹き抜けをストーブの煙突まわりだけにしたり、家の西側の床を張り出させるアウトリガーにしたりして2階の床面積を拡げている。こうした工夫によって限られた空間を最大限に利用し、希望通りの明るく広いリビングや、家族が快適に生活するために必要な空間を確保しているのだ。

また、これほど太い材を使えば、室内で圧迫感を感じそうだが、天井高を266㎝と高くしているおかげでそれもまったくない。見た目の迫力ばかりに目が奪われがちだが、居心地の良さ、暮らしやすさもしっかり考えられたプランはおみごと。このログハウスの規格外の実力は、家族みんなの笑顔が証明している。

左/ウッドデッキは家族が集まる第2のリビングです。 右/庭にある薪小屋には、上質な薪がどっさりと積まれていた。もちろん薪割りは自分でしている。このあたりはリンゴ畑が多く、薪集めにあまり苦労はしないという。

DATA

使用目的/ 自宅 家族構成/ 夫婦+子ども3 人 使用ログ材/ ウエスタンレッドシーダー(φ約40cm) ストーブ/ ドブレ「640CBJ」 敷地面積/ 897.7m²(272.03 坪) 床面積/ 1F 75m²(22.72 坪)、2F 63.00m²(19.09 坪) 延床面積/ 138.0m²(41.81 坪) 総工費/ 3000 万円+税

取材・文/原 太一、写真/関根おさむ