ログハウスで山を眺めながら暮らす。 夢をかなえた二拠点生活がスタート

田舎でしたいこと、街でしたいことのどちらも手に入れたい。そんな思いをかなえられる「二拠点生活」が注目を集めています。今回はそんな二拠点生活を送るAさん邸をご紹介します。

設計/㈱DO建築設計企画、施工/㈱マルアサ工房

Aさん

大好きな山の真正面に。お気に入りの家が完成!

雲がかかってあいにく山は見えないが、このデッキで過ごす時間は最高の贅沢。「朝日に染まる山は、本当に美しいですよ」

都会の家で平日を過ごし、休日は山の家でのんびり過ごすのが、二拠点生活の一般的なスタイル。Aさんご夫妻の場合それとは少し違っていて、生活の拠点はここ山をのぞむログハウスだ。

「2年後の完全定住を目指して、妻は先にここで新生活をスタート。今は僕が単身赴任中で、平日は神奈川で過ごし、週末に帰ってくるという生活を送っています」とご主人。

三角屋根のシンプルなログハウスに、デッキの屋根がアクセントとなるデザイン。白壁と木の色の組み合わせもバランスがいい

山の見える場所で暮らしたい。そんな思いから土地探しを始め、いったんあきらめかけた頃に出会ったこの土地は、廃屋が立ち草木に覆われていた。「草をかき分けて敷地に入ると、木々の間から真正面に山が見えたんです。その景色だけに賭けて購入を決めました」という賭けは大成功。晴れの日には近くに有明山、その奥には大好きな燕岳も見える。

ウッドデッキは、玄関ポーチを兼ねて家の2面を囲む形。大きな屋根ですっぽり覆われているので、使い勝手もいい

同時にチェックしていたログハウスに、広いデッキのある新モデルが登場するという運命的なタイミングにも恵まれ、あこがれの田舎暮らしが始まった。 「このウッドデッキがなかったら、別のログハウスを探していたかも」というくらい気に入っているログハウスは、まさにAさん一家のような暮らし方を想定して作られたモデルで、間取りはごくシンプル。家の2面に屋根つきのデッキを配しているのが大きな特徴。高さの低いシンプルな手すりはベンチとして使えるように設定されたもので、何とデッキのシンクも標準仕様だ。

土地を整地した際に伐り倒した木が当面の冬の燃料。太い木が多いので薪割りは重労働だ。右に見えるのは、壁張りや内装工事を自分たちで行った作業小屋
約400坪のひな壇状の土地を開墾して、畑や花壇づくりも進めている。土を掘ったり石を運んだりとなかなかの重労働だが、「登山の体力づくりにちょうどいい」と奥さま

「草刈り機を使ったり、野菜の苗を植えたり、薪割りも虫との遭遇も、生まれて初めてのことがたくさん! 楽しくて仕方がないんです」と新生活を大いに満喫している。

【  Detail  】

≪リビングダイニング≫

一般的な掃き出し窓なのに、広いデッキと開けた景色のおかげで開放感のあるリビングになった。1 階の天井はプラスターボード下地、オイルペイント仕上げ。すっきりとした印象になり、さらにはコストダウンにもつながる
1階。広いLDKと個室がひとつと水まわりというシンプルな間取りが、ふたり暮らしには使いやすい
シンプルな構造の階段は、強度を持たせるために分厚い板で作られていて、すっきりしつつも重厚感がある

≪キッチン≫

対面式のキッチンは食卓との会話がしやすいだけでなく、山が眺められるようにシンクの真正面に窓を設けたので楽しく家事ができる

≪2階≫

2階の半分は壁で仕切って広い個室に。「3人の息子や孫が来たとき、友人を招いたときにはここで雑魚寝してもらいます」
2階個室の入口。今はドアもつけていないが将来的に部屋を仕切っても使えるように出入口をふたつ作った
2階のホールに書斎&作業台を設置。ここからも山の眺めが! テレワークもはかどりそう

≪サニタリー≫

上3点/キッチンの背面側にまとめて配置したサニタリー。洗面室を挟んで、浴室、トイレと振り分けられている。浴室はハーフユニットを採用し、木の香りあふれるお風呂に。洗面台は大工さんが造作した

国産スギ使用で日本の森を守る 「プリミティブ・ログハウス」

Aさんのログハウスは、木をそのままあらわして使う家の普及を進める「木のいえ一番協会」が開発した「プリミティブ・ログハウス」の特別モデルだ。日本の山に植林されて成熟期を迎えたスギ材を積極的に使うことで、林業の活性化と地球温暖化防止への貢献を目指している。壁のすべてが無垢の木で作られるログハウスに使われる木材の量は、一般的な木造住宅の3 倍! プリミティブ・ログハウスでは、幅113mm の角ログ材を使用し、木の断熱性や湿度調整性、心地良いぬくもりなどを享受できる。 ●プリミティブ・ログハウス 標準価格 「プリメロ」1320 万円(税別) 「ピアッツァ」1450 万円(税別)

【DATE】 ●家族構成/夫婦 ●使用ログ材/国産スギ(W11.3 × H18cm) ●ストーブ/ダッチウエスト「ア スペン」 ●敷地面積/ 1397.65㎡(423.53 坪) ●床面積/ 1F 59.27㎡(17.96 坪)、2F 48.97㎡(14.83 坪)、延床面積 108.24㎡(32.80 坪) ●総工費/ 2150 万円+税

文/たむらけいこ、写真/志和達彦