非日常を思い切り楽しむダイナミックなハンドカットログ

せっかくログハウスに住むなら自分の好みやこだわりを生かしたいもの。夢を形にしたオーナーの暮らしぶりと、素敵なログハウスを紹介しよう。 ※記事内の価格等は2023年5月時点のものです。

山梨県・Nさん

設計・輸入・施工/夢木香(株)

これぞハンドカットという風格が魅力の別荘

上から見ると凸の形のログハウスのため屋根の形もやや複雑に。屋根の天辺まで10mもある迫力満点のハンドカットだ

Nさんが月に2回のペースで通い週末を過ごしているのは、間口と奥行きが約14.5×13m、高さ10mと、面積も高さも最大級のダイナミックなハンドカットログハウスだ。壁に使われているのは、最大で直径60㎝もあるカナダ育ちのウエスタンレッドシーダーである。 「高原の開けた土地を探してこの土地に出会い、建てるならハンドカットログと決めていました」と言うNさん。建築を手がけた夢木香とともに、たくさんの思いをひとつひとつ実現した、こだわりの一棟だ。

まさに非日常を楽しむ空間の白眉といえるのが、このバーカウンター。背面の棚の両サイドの石積みも雰囲気抜群だ。合わせて棚板は濃い茶色に塗装。カウンターの内側にはシンクや冷蔵庫、ワインセラーが配置された本格的なスペースとなっている

なかでもこだわったのが、リビングに設けたバーカウンターだ。石積みの柱と柱の間に設けた棚には、各国のお酒がずらり。ここはこの家の中心となる場所でもあり、ゲストを招いてお酒を振る舞うのが定番の過ごし方だという。「これからカクテルづくりも習う予定。僕の作るカクテルは、色はいいけど味がいまいちなんだ」と笑うNさんの、いちぱんのお気に入りの空間だ。

富士山が見える大きな窓のあるリビング。より開放感が出るように、ログ壁よりも1m前面に在来工法の壁を足してあり、窓辺はサンルームのような雰囲気に

ほかにも独立型のダイニングキッチン、小上がりの応接室、ログとは別構造に設けたサニタリースペースといった間取りの工夫、石積みの薪ストーブスペースや愛犬のためのタイル床の一角など、いたるところに、楽しい仕掛けが作られている。2階にはゲストルームが3つ。バルコニーに向かうキャットウォークも楽しさを増幅する仕掛けだ。石積みの暖炉などのデザインは、インテリア系のSNSなども参考にしたという。

2階のホールからバルコニーに向かう通路は、左右を吹き抜けにしたキャットウォークにすることで、ワクワクする空間となった

「ゴルフ仲間と4人で訪れることが多いので、ゲストルームは3つ。いちばん狭くて三角屋根の部屋が、非日常的だと人気なんですよ」とNさん。ゴルフ以外の時間はのんびりと別荘ライフを送る予定が「チェーンソーで立木を伐ったり、庭に道を造ったり何かと忙しくて、なかなかゆっくりできないもんですね」とのこと。そんな忙しい日々も含めて、木の香りあふれるダイナミックな別荘での休日を楽しんでいる。

【  Detail  】

≪LDK≫

リビングは高さ10m の大空間。迫力のある丸太組みは見ていて飽きない、ログハウスファンにはたまらない眺めといえる
薪ストーブはヒタの「LOGI」。鋼板とソープストーンを組み合わせたデンマーク製で、石積みの暖炉風に設置した。あたたかさも最高だとか
左手右/間もなく迎える予定の子犬のためのスペースをリビングの一角に作った。暑い日にお腹が冷やせるタイル張りの床に加え、壁には外へ出入りできる犬小屋形の小さな出入口もある
ダイニングキッチンは、リビングとは独立させる間取りを採用。ダイニングスペースは天窓のある吹き抜けで、コの字型の赤いキッチンとカウンターで仕切られている。ダイニングと2階をつなぐ階段も設けられている
リビングとダイニング、2か所に設けた階段。2階も含めた回遊動線になっており、プライベートとパブリックの領域を区切る役割も果たしている

≪1階ゲストルーム≫

1階の一角、小上がりのゲストルーム。床下全面が収納スペースになっていて、手前は引き出し式、部屋内に床下収納庫がある

≪2階≫

2階のゲストルームのうち、いちばん小さい部屋。変形した天井が山小屋みたいで人気がある。各部屋にデスクとテレビが完備されている
各空間が大きいので、斜め方向に火打ち梁を入れて各所で強度を確保した。同時に、丸太組みの構造美を見せるポイントにもなっている
家の各所に見られるさまざまな飾りは、国内外でNさんが集めてきたもの。動物がモチーフのものも多く飾られている
1階も2階も、個室のドアをカラフルに塗り分けて楽しげな雰囲気に。これが空間のアクセントにもなっている

≪サニタリー≫

1階の水まわり(トイレ、洗面、浴室)は、ログとは別構造で設けた。洗面台、浴室も広々と使いやすく、開放感たっぷり
左/リビングから水まわりに向かう廊下。バースペース裏にパントリーもある 右/ログ壁と在来工法部分の取り合い。防水やセトリング対策を行なってある
手前に張り出しているのが在来工法で造った水まわり棟。屋根上には2階のバルコニーがある

≪玄関≫

広い玄関ホール。床のタイルもNさんがひとつひとつ選んだ

【DATA】 ●使用目的/別荘 ●工期/ 2021年11月~ 2022年6月 ●構造/丸太組み構法(サドルノッチ)、地上2階 ●使用ログ材/レッドシーダー(φ 30cm前後) ●外壁の塗料/玄々化学工業 サドリン(2回塗り) ●内壁の塗料/無塗装  ●基礎/布基礎 ●ストーブ/ヒタ LOGI ●床面積/ 1F 154.35㎡(46.69坪)、2F 68.14㎡(20.61坪)、延床面積 222.49㎡(67.30坪) ●総工費/8400万円+税(仮設工事費135万円、基礎工事費585万円、ログ材料費3000万円、組み上げ・木工事費1780万円、屋根・板金工事費300万円、左官・塗装工事費120万円、設備工事費600万円、その他1880万円) ●設計・輸入・施工/夢木香(株)  https://yumekiko.com/ TEL 052-807-4890

取材・文/たむらけいこ、写真/関根おさむ