庭に大きく開いた平屋の別荘には室内にも庭にも楽しみがいっぱい

せっかくログハウスに住むなら自分の好みやこだわりを生かしたいもの。夢を形にしたオーナーの暮らしぶりと、素敵なログハウスを紹介しよう。

静岡県・Aさん

設計・輸入/(株)TALOインターナショナル、施工/TALO静岡 (株)ヒデホームズ

庭で果物や野菜が採れる豊かな別荘ライフ

ポカポカ陽気の庭でAさんご夫婦とお孫さん、愛犬のジヨンくんと。切妻屋根の平屋のログハウスと庭の調和の取れた風景だ

完成から約5年目になる別荘は、およそ300坪の広い庭のある平屋のマシンカットログハウス。庭づくりに精を出し、たくさんの果樹や野菜を育てながら、季節感のある暮らしを楽しんでいる。 「もともとあった木を1本だけ残して更地にしてもらい、芝を張り、畑を耕し、果樹を植えました。約5年目になり、その頃植えたブルーベリーやジューンベリー、ビワなどがたくさん採れるようになってきました」とAさん。ほかにも柿や栗、いちじく 、かんきつ類に山ぶどう、キウイフルーツなども栽培中。畑で採れた野菜は新鮮なまま食べるほか、漬物なども作っている。「別荘なので、毎日手入れができずに失敗することもあるけれど、それもまた楽しみのひとつですね。かんきつ類は、いつもアゲハチョウの幼虫に葉を食べられてしまって、なかなか実がなるまでにならないんです」。

畑はタマネギが成長中。「毎日手入れはできないので、放任できる野菜を選んで育てています。それでも採れすぎて持て余すこともありますよ」
広葉樹にコマを埋めていたシイタケが、ついに収穫できるまでに育った。肉厚でおいしそう

ログハウスは、平屋の3LDKプランの個室のひとつをオープンスペースにアレンジした2LDK。ふだんはご夫婦と愛犬が利用し、ときには独立した子どもたちが家族を連れて遊びに来ることもできる、最小限の間取りにした。 「無駄な空間がなく、シンプルで使いやすいです。収納スペースも確保したし、小さなロフトもあるんですよ」と言うAさんは、ログハウスが完成して最初にベッドを自作したというDIY派。敷地の周囲を囲む柵も庭中央のステージ状のデッキや2棟の小屋も手作りだ。

間取りの中心にオープンなLDK があり、その左右に個室を配置した間取り。左の奥に、ふたつある寝室のひとつがある
オリジナルプランでは個室だった所をオープンスペースに変更。窓辺にカウンターを設け、ソファを置いて、くつろぎの空間をつくった

「別荘でのんびり週末を過ごす、なんてとんでもない。現実は忙しくて、ゆっくりしていることはほとんどないですね。ここに来ると、ずっと働いています」、「庭づくりもだいぶ落ち着いてきたから、少しはゆっくりできるかな」と楽しそうに話すAさんご夫婦。それでも、デッキを拡張しようか、次はどんな野菜や果樹を育てようかと、楽しい計画も浮かんでいるので、のんびりとした別荘ライフはまだまだ先の話かも? DIYも庭づくりも、手をかけることで、どんどん変化していくのが楽しい、と語ってくれた。

【  Detail  】

≪LDK≫

キッチンから見たダイニングスペースは、家の真ん中にあるみんなで過ごす場所。平屋ならではの天井の高さも気持ちいい
I型キッチンと対面式のカウンターのあるキッチン。当初はカウンターをダイニングにする予定だったが、現在は作業台として使っている
左/壁際づけのシンプルなI型キッチン。カウンターと棚を設けて、リビングダイニングとゆるやかに仕切っている。カウンターの下も収納スペース 右/天井の高さまである奥行きの浅い壁のような棚。意外に収納力があり、キッチンとダイニングとの目隠しにも役立っている。表側は棚、裏側は吊るす収納
左/ソファコーナーの背面は壁いっぱいの納戸と、上部にはロフトを設置。「別荘なので、収納はこれで十分。ものを増やしすぎないようにしています」 右/厚さ11.2×高さ19.2cmのフィンランドパイン。狂いが少なく、詰まった木目が美しい。室内側は基本的に無塗装とした
玄関横にある薪ストーブは、カナダ製のパシフィックエナジー。火室が広く、大きな薪も入れられる。レンガを積んだ炉壁は玄関ホールとの仕切りにもなっている

≪玄関≫

玄関ホールは、LDKとひと続きにしつつ、小さな壁でゆるく仕切る造りに
壁には使いやすい靴棚を造りつけた

≪サニタリー≫

モデルハウスで見たガラスの仕切りのユニットバスを採用。「実際の面積より広く感じられるので、取り入れて良かったです」
左/ベッセル型の洗面ボウルがおしゃれ。洗面台や壁のニッチは造作 右/トイレの小さな空間を有効に使えるよう、ログ壁ではない壁の一部を大きな棚にした

≪外まわり≫

この日は娘さん夫婦と、生まれて間もないお孫さんが遊びにきてくれた。広くて気持ちいいデッキは第二のリビング。ちなみにこのテーブルも手作りだ
屋根の半分が透明なサンルーム的な手作り小屋。自己流でここまでできるのはおみごと。デッキのパーゴラでは山ぶどうを育てている
小屋の中は、ワクワクするような秘密基地的な空間。壁や天井に張った板はランダムに塗装した。どんな使い方をしようか楽しみが広がる
愛犬ジヨンが庭で自由に遊べるよう、敷地をぐるりと柵で囲った。柵とジヨンのおかげで、周囲に出没するイノシシがここには来ないそう
敷地内の配置をシンプルに描いた看板は、娘さんの作。家族みんながこの場所を楽しんでいることが伝わってくる

【DATA】 ●使用目的/別荘 ●家族構成/夫婦 ●工期/2018 年2月~2018年7月 ●構造/丸太組み構法(スクエアノッチ)、地上1階 ●使用ログ材/フィンランドパイン(W11.2×H19.2cm) ●外壁の塗料/大阪ガスケミカル キシラデコール ブルーグレー(3回塗り) ●内壁の塗料(一部)/和信化学工業 和信水性ステイン 白(2回塗り) ●基礎/ベタ基礎 ●ストーブ/パシフィックエナジー トゥルーノース20 ●床面積/ 1F 72.46㎡(21.91坪)、延床面積 72.46㎡(21.91坪) ●設計・輸入/(株)TALOインターナショナル https://www.talo.co.jp/ TEL 03-5494-5922

取材・文/たむらけいこ、写真/関根おさむ