セカンドハンドの里山ログで自身の趣味と家族の時間を両立

楽しいこと、頑張ったことがあると、人は誰かに話したくなる。失敗エピソードだって、共感や賞賛が得られればうれしいものだ。ログハウスを舞台に趣味的な暮らしを楽しみ、それをSNSで発信している家族を紹介しよう。

SOさん

高床式ログハウスは、グリーンの窓枠がアクセント。裏山にシカやイノシシが出没するため、柵を設けて菜園を守っている。SOさんのインスタグラムは、@asagologで検索

SOさん一家の休日は土曜の朝、市街地の自宅から車で2時間ほどのログハウスへ移動することから始まる。山菜採りや川遊びなど、季節ごとの遊びを見つけて1泊2日を過ごすのが定番だ。「山小屋(ログハウス)を手に入れる」ことは、未来にかなえたいことや目標を書き込むオリジナルの「人生年表」にSOさんが掲げていた夢のひとつ。「野菜づくりや陶芸など、僕がしたいことをすると、家や家族と離れなくてはならなくなる。家族と過ごしながら、自分のしたいことを実現するにはどうしたらいいか?」。その答が、週末のログハウスだった。

雪の重みで倒れた木や枯れ枝をSOさんと長男のアラタくんで片づけ。「ログハウスにいるときは自然とよく手伝いをしてくれます」

ログハウス購入を決めた2020年、奇しくも新型コロナで生活が一変。リモートワークになり、趣味の旅行ができなくなると、ログライフの価値はより高まった。「ふだんは都会で暮らしていて、リモートワークなこともあって家にいると仕事がちらつく。ここに来ることで気持ちをリセットできます」。

前オーナーが花壇で使用していたレンガを再利用してコンポストに。生ごみと土を混ぜて、家庭菜園用の堆肥を作っている
野菜づくり歴5年目。ログハウスを入手する前は市民農園を借りて野菜を育てていた。今年の春はスナップエンドウを栽培中

子どもの成長記録やログハウスで感じたワクワクを発信するSNSには、廃屋化する別荘地のログハウス問題に一石を投じたいという思いもある。「ログハウスはそれだけで魅力があるし、SNSを通して地域を活性化する動線づくりができれば、ログの資産価値を上げる仕組みができる」とSOさん。未来への展望を抱きつつ、ログライフを満喫している。

【  Detail  】

≪外遊び≫

本格的な窯と違い、その日のうちに焼きあがる手軽さが魅力。割れてしまった器がログのまわりに野ざらしになっているのも趣を感じさせる
粘土遊びの感覚で自由にはし置きや器などを作る。野趣あふれるヒビありのぐい呑みはアラタくん渾身の自信作だ
左/初夏には水辺にたくさんのホタルが飛び交う。見飽きることのない幻想的な光をどうやって写真に残すか、思案するのも楽しい 右/ログハウスの近くを流れる清流にはサンショウウオが生息している。箱メガネで水中をのぞくと、さまざまな生き物が観察できる
見渡す限りの銀世界が広がる冬は、庭に雪だるまを作ったり、傾斜した地形を利用してそり遊びをしたり、子どもも大人も大はしゃぎ
写真撮影もSOさんの趣味のひとつ。カメラと三脚を背負って親子で周辺散策。何げない風景のなかに新しい発見がある

≪ログハウス室内≫

手入れが行き届いた室内は、28年の築年数を感じさせない優良物件。壁際のケージはペットのリクガメ「ツミレ」の家だ
左/炎がよく見えるMt.SUMIの薪ストーブは、シンプルなデザインがログハウスに似合う。「いろんな料理を試してみたいです」と奥さま 右/薪の炎には心を鎮める力があるのか、にぎやかな兄妹も自然と大人しく。室内では絵を描いたり工作をしたり、思い思いに時を過ごす
散策中に見つけた草花や昆虫は、棚の図鑑でチェック。将来は子どもたちが描いた絵やお気に入りの陶芸作品を並べ、家族のギャラリーに
ログハウスの壁を彩るアートの多くはSOさんの作品。シロクマの彫刻は、イヌイットが描いた動物の絵をモチーフにした連作のひとつ

取材・文/白柳里佳、写真/大西二士男(一部を除く)