【モデルハウス探訪】高気密、高断熱で木の味わいも十分。 「ログブリッド工法」が誕生
福島県いわき市の工務店「木の力」が開発したログブリッド工法は、 木の良さを生かしつつ省エネ・低コスト住宅を実現できるのが特徴。 そのモデルハウスを訪れてみた。 ※記事内の価格等は2023年5月時点のものです。
「木のひらや」モデルハウス
(株)木の力
分厚い板を内壁に張り美観と機能を両立する
高断熱・高気密の木造住宅を得意とする工務店「木の力」が、「ログブリッド工法」を開発した。この工法を用いたモデルハウスに一歩入ると、木の壁と太い木の梁で構成された、ナチュラルな空間が広がっていた。 壁に採用したのが、ログブリッドパネルと呼ばれる分厚い板だ。これは内装仕上げ材であり、角材を縦に並べて耐力壁とする縦ログとは異なっている。このモデルハウスは在来工法だが、RC造や鉄骨造などにも採用可能だ。
ログブリッドパネル同士はヤトイザネで接合する。同社の志賀正敏社長は、「接着していないので、木が湿度によって膨張、収縮する動きを吸収できるんです」と語る。同社はこのログブリッド工法について、商標と特許を取得。福島イノベーション・コースト構想推進機構の支援を受けてモデルハウスで温度変化や音響効果などを測定し、木の空間の快適さを実証している。
建築コストを抑えられるのも魅力だ。短尺材をつなぎ合わせて使えるので、これまで建材にならなかった木を有効活用できる。また、工期も短い。「壁を造るときは工場で作ったログブリッドパネルを現場でポンポンはめていくだけなので、工期を圧縮できます」と志賀社長。規格住宅ということもあり、28坪の2階建てを1700~1800万円ほどで提供できるという。 現在、同社では量産体制を構築中。ほかの工務店に部材を供給するBtoB展開も視野に入れ、この工法の普及に努める予定だ。
ログブリッド工法の基本的な構成
【 Detail 】
≪2階≫
≪外観≫
VOCや室温、音響効果を計測し快適さを実証
●揮発性有機化合物(VOC)室内濃度を測定
●音の周波数特性などを測定
●外気温と室温の比較
【DATA】 ●所在地/福島県いわき市鹿島町御代赤坂12-2 ●営業時間/9:00~18:00 ●定休日/水曜、木曜、祝日 ●アクセス/常磐自動車道「いわき湯本IC」から約10km ●設計・施工/(株)木の力 ●延床面積/102.01㎡(30.85坪) ●工法/在来工法+ログブリッド工法 ●ログブリッドパネルの樹種/スギ(1F)、北欧パイン(2F)、ツガ(天井) ●見学予約・問い合わせ先/(株)木の力 TEL 0120-38-6692 ●URL/https://kinochikara.jp/ ●E-mail/info@kinochikara.net
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