木の香りに包まれるログハウス。自然豊かな地で暮らしを楽しむ

「自然が大好きで木の家を建てて暮らしたい」。そんな思いを実現したオーナーの暮らしぶりをのぞいてみた。思い思いに楽しむ自分流のナチュラルな暮らしと、そんなライフスタイルに似合う素敵な住まいを紹介しよう。

栃木県・大山さん

設計・輸入・施工/高原都市開発(株)

自宅で結婚式ができる家が設計コンセプト

ログハウスの床面積は、1階が約90㎡、2階が約30㎡。2階といっても仕切りがある部屋はなく、平屋といっていい造りになっている

「家を建てるのに、広くて自然豊かな土地というのは絶対条件でした」と話すのは、このログハウスのオーナー、大山さん。20代後半から数十年間土地探しを続け末に、ようやく理想の土地にめぐり合い、夢のログハウスを建てたという。 選んだログメーカーは北軽井沢の高原都市開発。ログハウスのいい部分だけでなく、をつけなければいけない部分も説明してくれたので「嘘がなく信頼できる」と思ったそだ。

広々とした草地に立つログハウスは、重厚感ある瓦屋根でどっしりした印象だ。近くに川が流れているため、万が一を考え基礎を90㎝と高めに設計。これから芝を敷いたり駐車場を造ったりと、外構にも手をつける予定だという。「最終的には、家のまわりを車で周回できるようにしたいです」

家づくりでまずこだわったのは、高い基礎。川が近く災害の可能性も考え90㎝の高さしたというが、結果的に前の道路を通る人の視線を気にせずに済むし、窓が高くなってから侵入しにくいため防犯にも効果があったという。「平屋にしようとは最初から決めていました。5人家族ですがふたりはもう独立してい、この家に暮らすのは3人だけ。それほど部屋数は必要ないし、もし必要になったら増せばいい。そう考えて2階に部屋を増やせるよう、キッチンの上にもあらかじめ梁を架ています」

襖や障子をあけると大人数が座れる日本の古い家のように「自宅で結婚式ができる家」というのが家づくりのコンセプト。そのため、こうして和室の障子をあければ、土間の向こうにあるリビングまでが一望できるようになっている

15回以上も図面を描き直したという間取りは、12㎡ある広い土間を挟んで和室とLDKが向かい合うユニークな造り。「自宅で結婚式ができる家」がコンセプトで、扉をあけ放ったときに和室からリビングまで広く見渡せるようにしたかったのだそうだ。 ハーフビルドにも挑戦し、外壁と室内を家族で協力しながら塗装した。「当時は必死でした」と笑うが、それからDIYや畑づくりなど、自分で暮らしを手づくりする楽しさに目覚めたという。

左/建築費を安くするため、そして家づくりを楽しむために家族みんなで外壁塗装に挑戦。「あのときはやるしかないので必死。作業は大変でしたが、楽しい思い出ができました」と大山さん 中/雨風が当たる破風もしっかり塗装。塗料はキシラデコールを使った 右/室内の壁と床に塗ったのは、白木美人という塗料。塗膜を作らず、木が持つ自然な色や風合いを損なわずに日焼けや汚れから木を守ってくれる

「外構もこれから自分でやるつもり。コンクリートを敷いて駐車場を造ったり、芝を植えたりとやりたいことはたくさんあるんですが、時間とお金が足りません。でも、こんな楽しいことを人にお願いしたらもったいない」と笑う大山さん。これからのログライフもますます充実したものになりそうだ。

【  Detail  】

≪LDK≫

奥さま、娘さんとダイニングでくつろぐ大山さん。対面式のアイランドキッチンで、奥さまが料理をしながらでもコミュニケーションが取りやすい
デッキに架かる屋根が透明なので、リビングから広い空が見える。建具は、躯体の北側と西側にアルミサッシ、そのほかは高級感ある木製建具を使用している
素材にシベリア産のパインを使った3層ラミネートのログ材は、比較的安価でなおかつ高品質な中国製。サイズは幅10.5×高さ17.5㎝
左/キッチンカウンターはログメーカーの造作。無機質なレンジフードを木でカバーするなど、手作りならではのあたたかさがある 右/キッチンの上には、細かいピッチで梁がかかっている。これは、2階に部屋を造りたくなったときに、床を張れるようにと考えてのことだ

≪玄関土間≫

玄関を入るとすぐあるのが、およそ12㎡の土間。その右手が19畳のLDK、左手が6畳弱の和室になっている
左/土間に設置してある薪ストーブは、ヨツールのF400。操作がシンプルで使いやすく人気の定番モデルだ 右/ピザを焼いたりするなど、薪ストーブ料理も楽しんでいる。「最初の年は不完全燃焼させてしまったりもしましたが、2年目の今年はもっと上手にやるつもり」と大山さん

≪和室≫

土間から和室を見るとこのような感じに見える。洋風のログハウスだが畳の部屋もよく似合う
和室の障子を閉めると、落ち着きある雰囲気になる

≪ウッドデッキ≫

さわやかな風が吹くデッキ。大山さんは、外での作業のあとここでビールを楽しんでいるそうだ
リビングの掃き出し窓の前の屋根を透明なポリカーボネイト製にし、室内に光が入るようにした

≪ロフト≫

16畳ほどの広さがある、ロフトのフリースペース。天井材や床材には、パインを使用している
ロフトからキッチン方面を見る。必要になったら2階に床を張り部屋を造るつもり。「そうやってあとから変えられるのも、ログハウスのいいところだと思います」と大山さん

≪個室≫

リビングの隣にある娘さんの個室は、天井が高く開放感いっぱい。天窓からは明るい光がたっぷりと入り、とても居心地がいい 

【DATA】 ●使用目的/自宅 ●家族構成/夫婦+長女 ●使用ログ材/シベリアレッドパイン(W10.5×H17.5cm) ●ストーブ/ヨツール F400 ●敷地面積/594.49㎡(179.83坪) ●床面積/1F 90.72㎡(27.44坪)、2F 29.97㎡(9.06坪)、延床面積 120.69㎡(36.50坪) ●総工費/2240万円+税

取材・文/原 太一、写真/松井 進