片流れ屋根と白い壁がリゾート感を演出。海辺のマシンカットログ

「こんなログハウスを建てたい」と夢をふくらませるのは楽しいものだ。ゼロから考えるのもいいが、参考例があれば発想がふくらんでベストな形が生まれやすくなる。自分なりにアレンジするのももちろんアリだ。日々の暮らしを幸せにしてくれる、「まねしたくなる秀逸アイデア」を紹介しよう。

宮城県・Kさん

設計・施工/(株)ログ・トラスト 輸入/(株)ゲストハウス

海辺にもなじむ白いログハウス。片流れ屋根でおしゃれなデザインに

ログハウスというと山や森の中の家のイメージがあるが、Kさんのマシンカットログは海辺。窓から海が眺められる好立地だ。 「ボートや釣りの趣味があるので、海辺に家を建てるのが以前からの希望でした。海を見ながらデッキで飲むビールは最高です!」とKさん。 そのログハウスを見ると、ログハウスと海はとても似合うのだ、と感じる。白く塗った壁とアクセントカラーのブルーの組み合わせが、「海辺の家」の雰囲気をつくり出している

片流れ屋根のおかげで、一面に窓を設けることができた2階のフリースペース。くつろいだり仕事をしたりと、長い時間を過ごす

この家を手がけたのは、ログ・トラスト。Kさんがログハウスを建てるのは2軒目で、以前の家も同社が担当。「われわれの趣味をよく知ってくれているので、建築に関してはほぼログ・トラストの金澤さんにおまかせしました」とKさん。

リビングとキッチンはひと続きだが、間に壁があるので適度な区分けもされていて使いやすい。縦型薪ストーブはソープストーン張りのデンマーク製

「ひと続きのLDKを中心に海に面して開くような間取りにしています。寒い地域なのでログ壁は厚く、窓はトリプルサッシを使っています」と言うのは建築を担当した金澤さん。自宅にほど近い別荘という用途なので、のんびりくつろげるよう2階はフリースペースのみという、ゆったりとした贅沢な空間づかいとした。海に面して設けたウッドデッキとバルコニーもポイントだ。「片流れ屋根にしたことで、2階の空間が有効活用でき、明るく気持ちのいい部屋をつくることができました」と金澤さん。

ダイニングキッチンは縦長のスペースで、間取りの凸部にダイニングを配置。右手に見えるドアからデッキに出ることができる

「自宅と以前のログ、オフィスや店などのいくつかの建物を建ててきたけれど、この家がいちばん成功した、と感じています。細かなリクエストはしていませんが、イメージ通りの仕上がりと住み心地です」と言うKさんは、奥さまとともに、ほぼ毎日この家に通い、ログハウスの快適さと海の眺めを楽しんでいる。

【  Detail  】

≪2Fフリースペース≫

2階は細かく仕切らず、右のフリースペースとその一角にクローゼットを設けるのみとして、フリースペースのゆったり感をつくった
間取りの一角の凸部を囲むように設けたバルコニー。夕日も眺められる、気持ちのいい場所

≪LDK≫

木目のパネルがログハウスによく似合うキッチン。壁づけI 型のシンプルな配置を採用した。空間を広く使える利点がある
道路に面しているので、キッチンの窓は小さく。それでも窓があるとないとでは明るさが違うので、窓は欲しいところ
左/厚さ約14㎝の壁はレッドパインの2 層ラミネート。断熱性が高く、冬は暖炉をつけると家中がずっとあたたかいという 右/床は壁と同じレッドパイン。こちらは透明の塗装。壁との色の違いがよくわかる。パインはかたすぎずやわらかすぎず、人気のフローリング
室内は木目が透ける薄い白色で塗装。塗っていないようにも見えるが、節が目立たなくなり見た目が落ち着く効果は大

≪サニタリー≫

洗面所の左右にトイレ、脱衣室と浴室を配置
トイレの引き戸は国産の既製品を、海のイメージで透けるブルーで塗装した

【DATA】 ●使用目的/別荘 ●家族構成/夫婦 ●使用ログ材/レッドパイン(W13.8×H18cm) ●ストーブ/ターマック「TT80S」 ●敷地面積/ 254.06㎡(76.85坪) ●床面積/ 1F 91.78㎡(27.76坪)、2F 35.83㎡(10.83坪)、延床面積 127.61㎡(38.60坪) ●総工費/ 3300万円+税

取材・文/たむらけいこ、写真/関根おさむ