目指すは「人と違う家」。完全自由設計×ちょいDIYで自分たちらしいログハウスに

DIYやハーフビルドは、住まいへの愛着を深めるいいチャンス。まずは気負わず、できることに挑戦するのが成功の秘訣だ。家づくりへの「ちょい参加」を楽しんだ人々を訪ねた

岡山県 M さん

設計/(株)スケッチ建築設計室 施工/(株)スケッチ

タイル張りや塗装に参加。ログの楽しさ、堪能中!

開放感あふれる吹き抜けのリビングは天窓から光が差し込み、くつろぎ感たっぷり。足触りのいいパイン材の床はご主人が塗装を担当した

山登りが共通の趣味というMさんご夫妻は、冬山にも登頂する本格派。結婚後、新居を建てようを決めたとき、ご主人の頭に浮かんだのが「人とは違う家を建てたい」という思い。山小屋の野趣あふれる佇まいや室内に漂う木の香りに魅力を感じていたこともあり、地元でログハウスが建てられる工務店を探した。 「区切りの多い家は嫌い」というご主人がパートナーに選んだのは、完全自由設計で思い通りのプランニングができる「スケッチ」。見学会に参加してイメージをつかむと、玄関から見渡せる広いLDKやリビング階段など、希望を盛り込んだ間取りを自分たちで描き、細部を相談しながら家づくりを進めた。

当初から「ログハウスを建てるなら、できるところは自分たちでしよう」と考えていたMさんご夫妻。工事中、ご主人は忙しい合間を縫って外壁やフローリングの塗装を行った。「仕事の都合で上棟式には行けませんでしたが、棟木の打ち込みを体験できたのはいい思い出です」。

一方、奥さまはキッチンと洗面所のタイル張りに挑戦。ハウツー動画を見てイメージトレーニングをし、ぶっつけ本番でのぞんだ。「失敗しても自分の家だからいいか、という気持ちで(笑)。でも、思ったよりもきれいに張れて満足しています」。

壁や廊下を極力減らし、ひとつながりの広いLDKを実現。子どもが成長してもコミュニケーションが取れるよう、リビング階段を選択

コロナ禍のステイホームもログライフの豊かさに気づく機会となった。「薪割りや外壁メンテナンスなど、家でやることがいろいろとあるのがログハウスのいいところ。見学会で知り合ったログ暮らしの先輩から『メンテナンスは習慣にすると楽だよ』とアドバイスされたので、外壁やデッキは3カ月ごとに少しずつ塗り直しすることにしています」。 今後は、外構や門柱づくりに挑戦する予定。まだまだログハウスの楽しみは尽きそうにない。

【  Detail  】

≪玄関≫

広々とした玄関。靴箱も自分たちでペイント

≪リビング≫

リビングにある本棚は、タイル張りからDIY 熱に火がついた奥さまの作。お気に入りの絵本を飾りながら収納できる
100×200mmの角ログは、熊本産のヒノキ材。ヒノキ特有のさわやかな香りが漂い、きめ細やかな木肌が室内を明るく見せる

≪キッチン≫

キッチンのワークトップは黒の人工大理石を採用。「イケアで見た黒い天板が気に入って、イメージを伝えて造作してもらいました」とご主人
大ぶりの黒タイルがモダンな印象。端の余白はモザイクタイルで埋めてアクセントをつけた。タイルカットの手間が省けて一石二鳥!

≪サニタリー≫

洗面台は奥さまの好みを優先し、グリーンのタイルを選択。ナチュラルな空間のアクセントになっている
ひとつひとつが小さいモザイクタイルは、シート式にまとまったものが扱いやすい。壁に張るときは速乾性の接着剤がおすすめだとか

≪2階≫

2階は主寝室とフリースペース。壁を作らず、広々とした空間づかいを心がけた。将来は壁を作って子ども部屋に変更可能
柱と梁が魅せる構成美は、すっきりとした印象
個室にいても家族の気配が伝わるよう、吹き抜け側に室内窓を設置。暖房効率もアップ
急勾配の屋根には天窓を設けた。やわらかな光が差し込み、山小屋にいるような気分が味わえる

≪玄関≫

青フレームの玄関扉はわが家の顔。自分たちで塗装し、組み立ててもらった 左/外壁やデッキの塗り直しは定期的に行っている

【DATE】 ●使用目的/自宅 ●家族構成/夫婦+子ども1人 ●使用ログ材/ヒノキ(W10× H20cm) ●ストーブ/ホンマ製作所「HTC-80TX」 ●敷地面積/ 359.05㎡(108.80 坪) ●床面積/ 1F 80.15 ㎡(24.28坪)、2F 65.92 ㎡(19.97坪)、延床面積146.07㎡(44.26坪) ●総工費/2763万円+税(DIY分を除く)

取材・文/白柳里佳、写真/松尾浩靖(一部を除く)