森の借景を取り込んだ快適なログハウスでDIYと野菜づくり

ログハウスは建てて終わりではなく、生活の楽しみを受けとめ、ふくらませる大きな器のようなもの。家族と一緒に歴史を刻み、より魅力的になってく。オーナーによってそれぞれ異なる好みを反映して生まれた魅力的な住まいと、その暮らしぶりを紹介しよう。

設計・施工/アペント(株)

夫妻でDIYに熱が入り愛着のある家に成長中

2階手すりは造作で、細かい手仕事が映える外観。玄関扉は明るいブルーを選んで、アクセントにしている

「土地の裏は大きな公園で、人が立ち入れないエリア。森のような借景の良さが気に入って、土地を購入しました」と岡部さん夫妻。ログハウスは別荘のイメージがあったが、DIYなどで手をかけて家とともに家族のライスステージを育んでいけそうだと感じ、施工をアペントに依頼。担当者の人柄の良さと設計の自由度に魅力を感じたという。 間取りは紙に書いて、1階はオープンなLDKに……などと細かく希望を伝え、打ち合わせを進めた。特に北側の借景を生かして和室前に設けた、大きなピクチャーウィンドーが気に入っている。収納にはすべて扉を設けてもらって雑然としたイメージにならないように希望したが、扉材や額縁材など隅々まで配慮がなされた美しい仕上げに感激したとか。収納内部の棚板は、暮らしながら使い勝手のいいサイズを導き出してDIYして作り上げている。

敷地奥は人が立ち入れない公園のため、自然豊かな借景に取り込み、北側和室はピクチャーウィンドーとした。夏は涼しい風が入ってくる

この家に引っ越してから2カ月ほどだが、DIYに熱が入り、他にも本棚やベンチなど、自作の家具類が増えた。購入するよりもジャストサイズで、ログハウスになじむナチュラルなウッド素材で揃えられるのもいい。現在は、プライベート性の高い裏庭でバーベキューを楽しもうと、くつろぎのためのウッドデッキの製作を目指しているところだ。また、前庭で家庭菜園を作って夏はナスやトマトの収穫をひと通り楽しみ、秋にはエシャロットやニンニクを植えた。ちょうど発芽し始めて、子どもと一緒に成長を観察するのが楽しいという。暮らしてみての感想は「帰宅すると木の香りがふわっと漂うのがいいですね。調湿効果のためかサラッとしていて素足で歩くのが気持ち良く、快適です」と語ってくれた。

開放的なワンルームのLDK から玄関方向を向いたシーン。仕切り板を設け、玄関から室内が丸見えにならないように配慮している

【  Detail  】

≪リビングダイニング≫

システムキッチン背面を木材で囲ってカバーし、イメージを統一したDK。室内床は撥水性に優れるクノス( リボス) の自然塗料仕上げ

≪キッチン≫

畳スペースは琉球畳を採用。フローリングとは幅木でフラットにつなぎ、狂いが出ないようにおさめた。ゴロンと寝転べる和室を設けたのは正解だった

≪キッチン≫

キッチンはI型。掃除のしやすい鏡面仕上げで、あたたかみのあるペールピンクを選んだ。奥に開口部があるため明るい
キッチンのコンロ脇の壁は、フランス張りのタイル仕上げ。ログとのジョイントにはフレームを入れているが、節のない材を厳選している

≪2階≫

2階のフリースペース。現在はひと部屋として使っているが、将来2部屋にできる可変性を持たせている。コンセントの位置も配慮した
標準よりもログを3 段分高く積んだことによって天井が高くなり、圧迫感が解消されている。その分天窓の角度もゆるやかになった
2階の上にはさらに収納用のグルニエを設けている。下の3 つの扉は左右が納戸。中央がトイレ
2階には、天井に洗濯物を干せるポールを設置した。雨の日に室内干しができ、すぐに乾くので重宝している

≪サニタリー≫

右奥がトイレと洗面台、左が脱衣所と浴室。来客時にも入浴できるように、吊り戸を設けてセパレートにした
サニタリーの洗面スペース。収納はすっきり見せるために扉を設けている。中の棚板はDIYした

≪外観≫

ログの塗装メンテは自身で行うことを前提に、妻壁は塗り壁、軒天はケイカル板にすることで、作業負荷を軽くした
窓や玄関扉の上に設けた霧避け窓は、雨などから窓を守るとともに外観のデザイン性を高める役割も持っている。アペント独自の意匠
庭に家庭菜園を作った。秋に植えたエシャレットとニンニクが発芽し始め、子どもと観察を楽しんでいる

【DATA】 ●使用目的/自宅 ●家族構成/夫婦+子ども1人 ●使用ログ材/レッドパイン 角型ラミネート(W11.3×H20.3cm) ●敷地面積/ 166.19㎡(50.27坪) ●床面積/ 1F 44.64㎡(13.50 坪)、2F 39.50㎡(11.95 坪)、延床面積 84.14㎡(25.45 坪) ●総工費/ 2300万円+税

東京都 岡部さん