【テレワーク×地方移住】4カ所ある仕事場を使い分けながらログハウス生活を満喫

自然に囲まれて暮らしたいが、かといって山奥で孤独に自給自足するのはキツいもの。その気になれば都市部へのアクセスが悪くない、ほどほどにのどかでそこそこ便利な「プチ田舎」の人気が高まっている。街中では味わえないその土地ならではの楽しみを取り入れて、もっと人生を豊かにしてみよう。

栃木県 下荒地さん

設計・輸入・施工/(株)ビックボックス

外観は、庭を愛した画家モネのジヴェルニーの家にヒントを得て、淡いピンク×グリーン(玄関扉)とした。今後は庭も手がける予定

職場のある街から少し田舎に引っ越して、マイホームを建てることを決めた下荒地さん。「自然豊かな環境で広い家に住みたい、それならログハウスだ」と考えた。ビックボックスに依頼したのは、開口部をたっぷり取った明るい内観を実現する設計力が決め手。電化製品を目隠しして木の良さを前面に出す、居住性を重視してログを強調しすぎず白壁も積極的に取り入れる、といったデザイン思想にも共感した。空気の対流を見越した薪ストーブや吹き抜けの配置など経験に裏打ちされた提案が頼もしく、オーダーメイド感覚の家づくりに満足したという。

プランニングの段階からテレワークへの対応を考えていたのも、この家の特徴。気分転換のため、家の各所に4カ所もワークスペースを設けた。入居後はコロナ禍でテレワーク三昧となり、終日家で過ごす日々が続いたが、結果として住み心地の良さを実感することになったという。

テレワークで会議を行う際は、愛猫が映り込むことがないように、ドアを閉めておける2階個室に移動。天窓があるため室内は明るい
日光連山を一望できる2階バルコニーに面したワークペース。吹き抜けに面した柵の間から足をのばせ、ラクラク過ごせる
夕方以降になると腰が疲れてくるので、座って作業できるスペースも設けた。アンティークのローテーブルが気に入っている
大きな窓に面し、開放感を得られるダイニング脇のワークスペース。薪ストーブの炎の揺らぎが目に入り、リラックス効果を得られる
薪ストーブは、料理ができるバーモントキャスティングスの「アンコール」を採用。得意レシピを増やしていく予定

薪ストーブの炎の揺らぎを楽しめることや、愛猫が見せるやんちゃぶりは、日々の生活の中で味わう大切な癒しだ。温泉を引いており、朝、薪割りなどの作業後、夜と一日に何度も行う入浴もリフレッシュに役立っている。自然に恵まれた環境は四季の移ろいが強く感じられ、今後取りかかる予定の庭仕事も楽しみだ。「テレワークが一気に進んだので、今後は田舎暮らしがブームになるかもしれない」と、後進のために現在の暮らしぶりを動画配信し、情報を共有できる場を提供している。

高校生の頃からドラムを始め、大学時代はバンド活動に励んでいた。今でもドラムセットを置いてあり、演奏して気分転換することも
ゆったりとくつろげる1 階ウッドデッキ。天気がいい日は日光連山、男体山などが雄大に広がり、ナイスビューが眼前に広がる
薪ストーブ用に自治体から無料配布される薪を利用している。コナラ、スギ、サクラなど、樹種によって香りや炎の違いを楽しめる

【  Detail  】

≪リビングダイニング≫

オープンなワンルームタイプのLDK。生後半年の愛猫、福太郎くんはやんちゃ盛り。かわいい仕草がテレワーク中に癒しをもたらす

≪キッチン≫

オープンスタイルのアイランド型キッチン。ここに立ったとき、視線の先に男体山が目に入るように、窓の位置やレイアウトにこだわった

≪吹き抜け≫

広々とした玄関ホールは吹き抜けの開放感あふれる空間にした。ホールの階段を上がるとワークスペースにつながる
玄関ホールから吹き抜けを見上げたところ。バルコニー側の大きな高窓から光が差し込み、白壁が光を反射してとても明るい

≪1階個室≫

吹き抜けになっている1 階個室。将来は吹き抜けを閉じて、2 階の床面積を増やせるようにし、あらかじめコンセントも設けてある
上の写真に隣接するウォーク・イン・クローゼット。ロフトにつながるはしごが設けてあるが、近々階段にリフォームする予定

≪2階オープンスペース≫

妻壁の窓と天窓から光が入り、とても明るいロフト。奥に見えるハシゴから1 階のウォーク・イン・クローゼットにつながる

≪浴室≫

日本三大美肌の湯のひとつとされる喜連川温泉を採湯している浴室。朝、作業後、夜の3 回は湯船につかってリフレッシュしている

≪ロケーション≫

下荒地さんのログハウスがある分譲地「びゅうフォレスト喜連川」。自然豊かな環境にログハウスがたくさん立っている

【DATE】 ●使用目的/自宅 ●使用ログ材/北欧パイン(W11.3×H18cm) ●ストーブ/バーモントキャスティングス「アンコール エヴァーバーン」 ●敷地面積/662.96㎡(200.54坪) ●床面積/1F 95.00㎡(28.73坪)、2F 76.27㎡(23.07坪)、延床面積 171.27㎡(51.80坪) ●総工費/3800万円+税

取材・文/長田節子、写真/松井 進