自然の中に白いログ壁が映えるモダンなハンドカットログハウス

せっかく建てるなら、住みやすく愛着が持てる家にしたい! そこで、今回は自分らしさを大切にしたログハウスや、暮らしやすさを考えて設計したログハウスを紹介しよう。同じログハウスでも、建てる人によってその姿はさまざま。こだわりを形にしたログハウスは、おおいに参考になるはずだ。

長野県 大日向荘

設計・輸入・施工/(株)JIN

希少なイエローシーダーの極太ログを使用

軽井沢の住宅地に建つ、白い塗装が美しいハンドカットログハウス。従来のハンドカットとは違う、さわやかで清潔感がある雰囲気が印象的

木を四角く製材して壁を積むマシンカットログハウスに対し、丸太をほぼそのまま積み上げるのがハンドカットログハウス。太い丸太を高く積み上げるダイナミックな構造は、ログハウスの王道といわれるが、その一方で、丸太の迫力が逆に圧迫感となり、室内が狭い、暗いというイメージや、野暮ったいという感想を持たれたりすることもあった。 しかし、この大日向荘は都会的なセンスを取り入れて、モダンで明るい雰囲気を実現。丸太小屋の古いイメージを払拭した、いわば現代のハンドカットログハウスである。

リビングからはアーチカットをふたつ同時に見ることができる。ダイニングには大きなテーブルを置き、大人数でも食事ができるようにしている

会社の保養所として建てられたこのログハウス、まず驚くのが白い外壁だ。普通のハンドカットは、木の色をそのまま生かす色で塗装することが多いが、白という大胆なカラーリングを取り入れることで、さわやかな雰囲気を演出。また、開口を大きく、そして室内の仕切り壁のカットも大きくすることで、明るく開放的な室内空間を実現している。 「自分の別荘も同じ色で気にいっていたので、ここも白くしました。ただ、室内は木の雰囲気を出したかったので無塗装に。やっぱりイエローシーダーの香りは最高ですね」と話すオーナーの齋藤さん。イエローシーダーは耐候性、耐朽性が非常に高く希少とされる材だが、今回ハンドカットの実績が高いログメーカーのJINが入手できたと聞き、その材を使い昔からあこがれていたハンドカットを建てることにしたのだ。

リビングとダイニングを隔てるアーチカットを大きくすることで、丸太の圧迫感を軽くし開放感を出した。リビングには薪ストーブを設置している

間取りは、室内を丸太壁でほぼ均等に4つに区切った、いわゆる田の字型のオーソドックスなもので、1階には約26畳のLDKとサウナや風呂などの水まわり、2階とグルニエにはゲストルームを配置。シンプルな造りだが、イエローシーダー独特の滑らかな木肌と、その名の通り淡い黄味がかった色合い、そしてモダンなインテリアのおかげで、どこも上質な癒しを感じることができる空間となっている。まさにラグジュアリーなハンドカットログハウスだ。

2階のフリースペースは、天井が高いうえ、大きな開口から日光が入り実に開放的。天井材と壁材にはダグラスファーを使用している

【  Detail  】

≪ウッドデッキ≫

日当たりのいい3×8mという広いデッキにガーデンファニチャーを置いて、第2のリビングにしている。デッキ材もログ壁と同じ白いカラーで、統一感がある

≪外観≫

ハンドカットらしい大屋根で、どっしりと安定感が感じられる。ログハウスの向こうには、雄大な表情の浅間山が顔をのぞかせる
ハンドカットの場合、ログエンドはそろえてデザインカットするのが普通だが、あえてバラバラの長さにして個性を演出

≪リビングダイニング≫

室内の木口が見える部分は、グルーブに白いチンク材(弾性充てん材)を施した。これが壁面の中で、いいアクセントになっている
薪ストーブの上が吹き抜けになっており、ここから上がった暖気が上階をあたためる
ウエスタンレッドシーダーを贅沢に使った階段の下には、収納を設置
楕円形のアーチカットごしにリビングをのぞむ。イエローシーダーの香りが心と体をやさしく癒してくれる

≪2階個室≫

2階にはゲストルームが4部屋もあり、大人数にも対応。天井のダグラスファー材は、あえて粗めに仕上げることでワイルド感を出している
2階の奥にあるゲストルーム。ここは1 階より2 階床を張り出させたアウトリガーによって、空間を広くしている。斜めの天井が山小屋風で、非日常感が楽しめるのも魅力
これはグルニエにあるゲストルームの窓。いちばん高い部屋なので眺めが良く、林ごしに浅間山をすぐ近くに望むことができる。この風景も癒しのひとつ

≪サニタリー≫

1階には、電気式のサウナを完備しており、くつろぎの時間をゆったり過ごすことができる。また、浴室とは別にシャワールームも用意
直径40㎝近いイエローシーダーのログ材に囲まれた、落ち着きのあるトイレ。ログ材同士は、スカーフカットの端とログ材同士の境界線を一点に集中させることで、ログ材の重なりが美しく見えるようにしたフォーポイント・サドルノッチによって組まれている

【DATE】 ●使用目的/保養所 ●使用ログ材/イエローシーダー(φ40cm) ●ストーブ/ネクター「マーク2ネクターCB」 ●敷地面積/ 511.17㎡(154.62坪) ● 床面積/ 1F 76.00㎡(22.99坪)、2F 79.00㎡(23.89坪)、延床面積 155.00㎡(46.88坪) ●総工費/4000万円+税

取材・文/原 太一、写真/関根おさむ