総ログ®の躯体や屋根の形などかっこいい要素を満載

せっかく建てるなら、住みやすく愛着が持てる家にしたい! そこで、今回は自分らしさを大切にしたログハウスや、暮らしやすさを考えて設計したログハウスを紹介しよう。同じログハウスでも、建てる人によってその姿はさまざま。こだわりを形にしたログハウスは、おおいに参考になるはずだ。

静岡県 青木さん

設計・施工/TALO静岡・伊豆 (株)ヒデホームズ 輸入/(株)TALOインターナショナル

吹き抜けのリビングで家族の気配が伝わる

2階までログを積み上げた「総ログ®」の統一感と、ダイナミックな差しかけ屋根が独特の存在感。明るい壁色もマッチしている

青木さんご夫妻のログハウスづくりは、機能性はもちろん、デザイン性にも重きを置いているのが特徴だ。自分たちにとって「かっこいい」「気持ちいい」「おもしろい」という価値観を反映して、居心地が良く愛着が持てる空間をつくり上げている。 「家づくりのパートナーにTALO静岡・伊豆を選んだのは、同社が得意とする総ログ®の魅力が大きかったです」とご主人。総ログ®とは、2階部分や妻壁までログを積み上げる構造のこと。「ここまではログ壁、ここからは違う素材という区切りがなく、壁全体で一体感があってすっきりしている点にひかれました」。

長くのびて駐車場を覆う屋根は、このログハウスのデザイン上のポイントのひとつ。雨の日でもここでBBQできるという副次的な効果もある

駐車場までのびる東側の屋根も、この家の特徴のひとつ。同じような造りの施工例を見て、その迫力にひと目惚れして採用を決定したものだ。また、南側は軒やバルコニーの張り出しが深い。東側も南側も隣接する家屋がないため、直射日光が室内に入るのを避けるための工夫だが、それがデザイン上のアクセントにもなっている。

吹き抜けの高さをいっぱいに使って設けたクライミングウォールは長男のお気に入り。最上部にはハーネス用のロープも装備している

間取りについては、子どもたちがまだ小さいこともあり、吹き抜けを中心に家族がどこにいるのかわかる造りにこだわった。間仕切りが少なく、ソファに座ればダイニングキッチンはもちろん、玄関や2 階の気配もわかるようになっている。 リビングでひと際目を引くのが、子どものために作ったクライミングウォール。床から天井まで達する高さがあり、長男は一時期、2階に上がるのに階段をわずこちらを使っていたほどはまっていたという。ログ壁にはセトリングがあるため直接固定はせず、壁からふかして枠を作るところまでは大工さんに依頼。板とクライミングホールドはご主人が取りつけた力作だ。

家族がどこにいても気配がわかる開放的なリビング。子どもたちを見守りやすい間取りは、青木さんご夫妻の希望をかなえたもの

「天窓や吹き抜けがある家に住むのは初めて。開放的な空間で薪ストーブの炎や天窓ごしの雲の流れを見ていると、テレビをつけなくても一日中おもしろいですね」と、ログハウスの暮らしを満喫している。

キッチンは、場所を取らない壁づけのI 型を採用。その分、吹き抜けのリビングを広く取れた。システムキッチンの美しい木製面材を見せたいという意味もある

【  Detail  】

≪リビングダイニング≫

クライミングウォールの彩りに、古いブリキのサインボードをあしらったのはご主人のセンス。楽しげな雰囲気を盛り上げている
ご主人の趣味であるドラゴンボートで実際に使っていた舵を掃き出し窓の上にディスプレイ。趣味を取り入れたインテリアを楽しんでいる
上/ダイニングの青いドアはユダ木工のもの。実はすぐ横に大きな開口部があり、ドアを設ける機能的な意味は薄いが、ご夫妻のお気に入りなので設置した 下/勝手口のドアは、ユダ木工のドアに合わせて青く塗装

≪2階フリースペース≫

2階のフリースペースは子どもたちのお気に入りの居場所。シアタールームにする予定で配線まで済ませたが、せっかくだから好きにさせている

≪2階主寝室&子ども部屋≫

2階の子ども部屋は、天井が高く気持ちいい空間。天窓を設置してあり、「夜、照明を消すと星空が見えて楽しいですよ」とご主人
総2階建てなので壁の高さに余裕があり、部屋の隅に2段ベッドや家具が置ける。居住性の高さは折り紙つき
「今は慣れましたが、住んだ当初は木の香りがずっとして驚きました」とご主人。何ともいえない落ち着いた雰囲気は、寝室でも存分に味わえる

≪サニタリー≫

木のぬくもりあふれる造作の洗面台。天板にはご主人が地元の材木店で購入した耳つき板を使用している。レトロなブラケット照明もおしゃれ
上2点/トイレの便器と手洗いボウルは、1 階を黒、2階を白にした

≪ゲストルーム≫

1階の個室はゲストルーム。五月飾りなど季節のディスプレイはここで楽しむ。将来はここを子ども部屋にする可能性も

≪玄関≫

玄関を入るとすぐ右にリビングがつながる間取りは、家族の出入りを把握しやすい。来客から生活空間が見えることは気にならないという
リースは奥さまの趣味で壁にディスプレイ。家の各所に飾って、空間に彩りを添えている
階段横の壁はログではなくパネル張り。最初からここに絵画を掛ける想定で、白く塗装して絵画が映えるようにした

≪ウッドデッキ≫

バルコニーが覆うウッドデッキは、玄関とガレージをつなぐエントランス。毎日ここを通って車にアクセスしている

【DATE】 ●使用目的/自宅 ●家族構成/夫婦+子ども2人 ●使用ログ材/フィンランドパイン(W11.2×H19.2cm) ●ストーブ/ネスターマーティン「S33 B-TOPモデル」 ●敷地面積/206.75㎡(62.54坪) ●床面積/1F 69.72 ㎡(21.09坪)、2F 55.32㎡(16.73坪)、延床面積 125.04 ㎡(37.82坪)

取材・文/編集部、写真/細田健太郎・(株)TALOインターナショナル