美しくて、暮らしやすい。毎日が心地良く過ごせるモダンなログハウス

せっかく建てるなら、住みやすく愛着が持てる家にしたい! そこで、今回は自分らしさを大切にしたログハウスや、暮らしやすさを考えて設計したログハウスを紹介しよう。同じログハウスでも、建てる人によってその姿はさまざま。こだわりを形にしたログハウスは、おおいに参考になるはずだ。

茨城県 椎名さん

設計・輸入/(株)ホンカ・ジャパン 施工/(有)KIGUMI

絵本に出てくるような理想の住まいを実現

明るくスタイリッシュなダイニングは居心地抜群。アイランドキッチンとそれに接するダイニングテーブルで、使い勝手も良好だ

茨城県日立市の海にも山にも近い住宅街に建つ椎名邸は、ナチュラルな色合いのマシンカットログハウスだ。 「登山やキャンプ、オートバイが趣味で、昔から木の家に親しみを持っていました」というご主人が念願のログハウスを建てるにあたり望んだのは、薪ストーブ、バイクがいじれる趣味スペース、遊べるデッキという、アウトドア好きの男性らしい要素だった。一方奥さまは、住宅街になじむすっきりしたデザインで、明るく生活がしやすい家を希望。奥さまが図面を何度も描き直し、間取りを考えた。結局、設計だけで1年もの時間を費やしたが、完成したログハウスは、おふたりのこだわりと愛情が詰まった、理想の住まいになった。

じっくり考えた間取りは、薪ストーブがあるリビングを中心に、ダイニングや水まわり、デッキを配置。どこからでもリビングにアクセスしやすく、日々の生活がスムーズに行えるのが特徴だ。 デザイン面では、階段の手すりや照明器具、電気のスイッチなど、各所に黒を取り入れた。壁や天井の木のやわらかな表情とシャープな黒のコントラストが、スタイリッシュなのにとがりすぎない、落ち着ける空間をつくり出している。

上2点/20㎡弱のリビングは大きな吹き抜けになっていて、いくつもの開口から明るい光が差し込む開放的な場所。子どもたちも自然とここに集まってくる。そして、このリビングを家の中心としてダイニングや水まわり、デッキなどの各スペースを配置。どこからでもリビングにアクセスしやすい間取りだ

そして、もうひとつ部屋をスタイリッシュにしているのが、ログ材だ。このログ材はホンカ・ジャパンのマルチラミネートログというもので、他には見られない高さ26㎝のトールサイズ。そのためログとログの継ぎ目が一般的なログハウスよりも少なくなっている。「通常のログ材と26㎝のログ材の写真見せてもらったとき、こんなにも印象が変わるのかと驚きました。ログ材の継ぎ目が少ないから、室内がとてもすっきりしていいですね」とにこやかなご主人。居心地の良い 空間デザイン、暮らしやすさ、楽しさなど、どこをとってもこれからの手本となるようログハウスではないだろうか。

このログ材(W13.4×H26㎝)は、高さがあるだけでなく、ログとログの継ぎ目が目立ちにくい形状。継ぎ目を強調しないデザインは、北欧ログの最近の傾向だ

【  Detail  】

≪リビングダイニング≫

上2点/奥さまのアイデアで、サッシ、シーリングファン、スイッチなど各所に黒いパーツを使用。また、階段の手すりは木ではなく鉄にしている。こうして、ログ材のパインのやわらかさを引き締める黒い色や異素材を取り入れることで、木のやさしさは残しながらスタイリッシュな雰囲気にしている
ご主人がこだわって選んだ薪ストーブは、英国チャールトン&ジェンリックの PV5W。英国の厳しい環境基準をクリアしているモデルだ

≪キッチン≫

上2点/キッチンはアイランド型。ステンレスカウンターはバイブレーション研磨で、ピカピカの鏡面仕上げとはまた違う、落ち着いた高級感がある。このキッチンの奥には、ご主人の趣味部屋へ通じるドアがある

≪趣味部屋≫

上2点/家の東側には、ご主人念願の趣味部屋があり、奥の棚には登山やキャンプの道具などがぎっしりと収納されていた。また、コンクリート敷きなので、愛車のBMW のオートバイの手入れもできる。キッチンの奥から直接出入りできるのも便利だ

≪2階個室&ホール≫

寝室と子ども部屋の間にある空間も、適度な広さで居心地がいい空間。ここにはソファを置いてくつろげるようにしている
家族みんなで寝ている2階の寝室のベットカバーも黒で統一。木に囲まれた空間は落ち着きがあり、気持ち良く眠ることができる
2階の個室は子ども部屋として使用。テーブルと小さな木の椅子は、同じ敷地内に暮らすご主人のお父さまが手作りしてくれたもの
階段を上がったところにテーブルを設け書斎に。ここでパソコン作業などをすることができる。ロールカーテンのむこうは収納だ

≪玄関≫

天井が高く広々とした玄関にはピアノを置いている。ご主人は木工もするようになったそうで、大きなシューズボックスは自作の品。見事なでき映えだ

【DATE】 ●使用目的/自宅 ●家族構成/夫婦+子ども2人 ●使用ログ材/欧州アカマツ(W13.4× H26cm) ●ストーブ/チャールトン&ジェンリック「PV5W」 ●敷地面積/350.10㎡(106.09 坪) ●床面積/1F 85.72㎡(25.97坪)、2F 47.50㎡(14.39坪)、延床面積 133.22㎡(40.36坪) ●総工費/3450万円+税

取材・文/原 太一、写真/関根おさむ