[4]女子が木を伐る所から家をつくる <2.集材>

女性が中心になってポスト&ビームのログハウスを造るプロジェクトがスタート。家づくりと同時に、荒れた杉林の整備と地域振興まで実現しようという野心的な試みがはたしてどうなるのか? プロジェクトの進行とともに、家づくりのノウハウも紹介していこう。

葉がらし乾燥を半年程させてから、集材します。 葉が緑から茶色になった頃が、乾燥が進み集材をする時期の合図です。 斬り倒した時より30%軽くなると言われています。 集材にはまず、乾燥を促す為につけていた枝を切り、幹を適度な長さに切らなければなりません。 この作業を枝払い、玉切りと言います。

枝払い
玉切り

木を伐る醍醐味は、枝払い、玉切りにあると言っても過言ではありません。 枝や幹を切っていくのですが、ただチェーンソーのガイドバーを上から下へ下ろせば切れるものでは無いのです。 木には必ず、上下左右に張力と圧縮がかかっています。

上に圧縮がかかっている場合は下からチェーンソーを入れる

下に圧縮が掛かっている場合は上からチェーンソーを入れる 圧縮側から切ると、のこ道が開いてきて、ある程度の所まで切ると、のこ道が閉じてガイドバーが挟まれ、取れなくなります。 この現象を我々は、チェーンソーが噛まれると言っています。

無理に取ろうとすると、チェーンソーが壊れてしまうので、エンジンを止め、クサビ等で、のこ道を開いて、外さないといけません。

いかにチェーンソーが噛まれないように作業するかが、効率を上げるポイントになります。 木の張力と圧縮を見極めるのが、木こりの醍醐味なのです。 さて、ログハウスに使う建材の造材作業ですが、3300mm,4300mm,6300mmの長さで、幹を玉切りして、丸太の原木を造ります。 太さは元が24cm~26cm末が20cm以上ありテーパーが少ないものが好ましいです。 もちろん腐れが入っていないものが望ましいですが、荒廃林には綺麗な木の方が少ないのです。 少々腐れが入っていても強度的に問題ない程度なら味のある木として無駄なく使用します。 木の根本は広がっているので、あえて広がっていない所から切ってテーパーを少なくする事も重要です。 もちろん切って残った部分は薪として利用します。 さて、この三種類の丸太を、集材していくのですが、人力で集材するのは、不可能に近いので何らかの道具を使います。 私達の現場は小さすぎて経済的に高性能林業機械は使えません。 ですので、爪付きのバックフォー、クレーン付きトラック、ポータブルウインチ等を使って集材します。

バックフォーでの集材作業

広い面積で、多くの木材を集材する場合は、バックフォーを、小面積、少量の木材の場合は、クレーン付きトラック、ポータブルウインチを使います。 今回の造る家には、約70本の原木を製材し、ここから長短合わせて80本程度の構造材に加工していきます。

左、クレーン付きトラック 右、バックフォー

集材した木材は、製材所にトラックで運び、設計図の使用部所に合わせて、製材していくのですが、それは次回、製材で。

【コラム】 意外と間違えるチェーンソーの始動方法

今回は、ハスクバーナ543 XPで試します。 エンジンチェーンソーを始動するには、まず、エンジンブレーキをかけます。

スイッチを入れ、チョークを引いて空気の入りを少なくし、濃度の高い混合ガスを入れる様にします。

次にスターターロープを1~3回引いて、最初の爆発(初爆)をさせます。

最近のチェーンソーはスターターロープを軽く引いてもエンジンがかかる設計になっています。

エンジンを最小限の力でかけるコツは、ロープを最初の引っ掛かりがあるくらいまで引いておいてから、ロープを最後まで引っ張るという事です。

3回くらい引いて初爆しない時は何かしら操作が間違っている事が考えられるので、かならず、スイッチや、チョークを確認してください。 初爆しない場合は、燃料でプラグが濡れてしまっている可能性があるので、少し休ませないとかかりません。 初爆を確認したら、チョークを戻しスターターロープを、何回か引くとエンジンがかかります。

エンジンがかかったらフルスロットルになります、アクセルを少し回せばアイドリング状態になります。

チェーンブレーキを解除すれば、作業できる状態になります。

気温が低過ぎたり高過ぎたりするとエンジンが、かかりにくい場合がありますが、上記操作で大概はかかります。かからない場合はメンテナンスに出してください。

プロフィール

「木こりの源」こと井上源太郎

東京都出身。映像会社代表。玄米菜食カフェの経営、長柄町役場「移住定住コーディネーター」、森のスポーツパチンコ協会副理事長など幅広く活躍する。2017年よりNPO法人ふるさとネッツの理事となり、多くの地方がめざす地域創生を「林業」から実現する日本初のモデルとなるべく邁進中。

NPO法人ふるさとネッツ: https://furusatonets.net/

文/木こりの源

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