薪活(マキカツ)奮戦記【その①】ウィンウィンの関係を築き 移住先で原木を入手

薪は購入すると意外に高くつく。なるべく自力で調達したいのが人情だ。しかし、どうやって薪集めをしたらいいか、初心者にはわかりにくい。そこで、最初の高いハードルである「薪集め」を中心に、先輩薪ストーブオーナーたちに「薪活」の実態を教えてもらった。

boschetto_planning_serviceさん

Q.薪集めの方法と入手先は?

A.

玉切り台を使って丸太を規定の寸法にカット

湘南から標高1250mにある別荘地に移住。縁もゆかりもない土地で、薪ストーブの燃料はどうするのか疑問でした。まずは役場および移住支援室の方に相談したところ、この地域には伐採業者が不要な原木を置きに来る「貯木場」がないことが判明。隣人、自治会、商店、飲食店のオーナーやお客さん、散歩中の人、誰とでも積極的にあいさつ、お話をすることを心がけ、情報収集に努めました。地方では人づてのネットワークで「原木が欲しい人がいるよ」と広がっていきます。

Q.薪集めを成功させるコツは?

A.

市町村に貯木場がある場合は積極的に利用する。貯木場がない場合、基本、伐採原木は受動的では手元にやってきません。原木の所有者とウインウインの関係を構築することが大事です。個人使用で薪にする原木は「製品化されない不要な原木」であり、薪ストーブなど燃料として使う人以外には可燃ごみでしかありません。処分する手間が省ける=無料でもらえる。不要な原木は針葉樹が多いですが、私は積極的にいただきます。次回の「お声がけ」がなくなってしまってはいけませんので。

Q.薪活をしていて良かったことは?

A.

薪活を通して早期に地域になじめました。また、首都圏在住サラリーマンであった私にとって、今の生活は別世界です。森に入って原木をいただき、薪づくりを行う……。厳冬期は雪をかき分け、夏は滝のような汗をかき、自作の薪棚がいっぱいになったときの満足感は格別です。自然の中で生物の一種族として生きている感じがします。

Q.薪活をしていて大変だったことは?

A.

薪活一年生なので思うように作業が捗らず、かなり苦戦しました。山間部のため天候の変化が激しく、朝は快晴、午後は雷雨というお決まりのパターン。雨ばかりでは作業が滞るので、単管パイプにて作業場を自作し対処しました。

Q.薪の割り方、乾燥に関するこだわりは?

A.

原木を40~43㎝で玉切り。薪割りと作業工程が違うのでたまるまで玉切り置き場に放置。薪は太割り、中割り、小割りに分けます。針葉樹は小割りに、来シーズン以降用の広葉樹はすべて太割りにします。井桁積みは通気性がいいので乾燥に適していると思いますが、面倒なので両端だけで挫折しました

自作の玉切り台はラクな姿勢で安全に作業できる。目盛りつきで玉切りを効率化
薪ストーブに合わせて長さ40cmに切り揃えた丸太。ある程度の量がたまってか薪割りを行う
アルミ製のリフティングトングと両手トビ。重い原木を動かすときに重宝

これから始める人へ

ヘルメット、グローブ、安全靴などで完全装備したboschetto_planning_serviceさん。「初心者こそ安全第一を心がけるべき」が持論

まずは安全第一。ヘルメットやグローブなど、チェーンソーを扱ううえでの防護装備を揃えましょう。チェーンソー初心者は専門販売店で購入し、操作の仕方を直接聞きましょう。ブレーキのかけ方、解除、キックバックを起こさない注意点などを教えてくれます。 軽トラ4駆は最低限必要。4駆でないとスタックします。わが家は軽トラ、チェーンソー2機、防護装備その他と作業場の材料などで約150万円の初期費用がかかりました。でも、それを上まわる魅力が薪ストーブにはあると思います。

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