煙突と炉台のジオメトリー【その⑨】

安全性を考えると、薪ストーブの配置計画はプロにおまかせしたい。しかし、煙突や炉台を設置する際のセオリーを知っておけば、より安全で合理的な「薪ストーブがある住まい」づくりに役立つはずだ。

取材協力/エープラス

炉台のサイズと配置、クリアランスは?

ログハウスは丸太がむき出しになっているので、可燃材の壁ということになる。だが、日本ログハウス協会などが行った実験により、ログハウスに使われるような太い丸太は板材と比べて燃えづらく、火災になりにくいことが証明されている。 しかし、可燃物であることは確かなので、薪ストーブを取り入れるときには細心の注意が必要になってくる。薪ストーブ本体と炉壁との距離は? 炉壁と可燃壁との距離は? 炉台の大きさの目安は? 実は、これらの薪ストーブ設置のクリアランスは、メーカーによって商品ごとに詳しく決められている。薪ストーブの種類によって放熱の仕方や熱を放出する場所の温度も違っているからだ。あわせて薪ストーブを設置する場所の地方自治体により火災予防条例が定められている場合もあり、もちろんそれにも準拠しなければならない。

一例として、エープラスが扱っている薪ストーブ、ドイツのアイアンドッグ№7を見てみよう(上図、下表)。炉台2面で25㎜ の空気層を作った遮熱壁がある場合、側面は400㎜ 以上離し、可燃壁からは600㎜ 以上離すように決められている。また、背面は可燃壁から250㎜ 以上離すように指定されている。そのほか、前面、天井面などの可燃物離隔距離、不燃構造の床の大きさも詳しく決められている。ボトムヒートシールドを装着しない場合の不燃構造床のサイズも定められているので、それらに合わせて施工する必要がある。

取材・文/押田雅博、イラスト/内藤しなこ

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