児童文学の世界を再現したような森の中の一軒家

埼玉県・目黒さん ●設計・施工/(株)山一設計 輸入/ハースストーンホーム事業本部

本物を求めてたどり着いたダブテイルのログハウス

子どもの頃から海外の小説に親しんでいた目黒さん。特にひかれたのは、アメリカ開拓時代を描いた物語だった。「住まいや生活の描写が好きで、言葉から想像をふくらませていました。お小遣いで海外のアンティーク雑貨を買えるようになって、窓際に置いてみたけど何か違う。本物の素材でディテールまでこだわった家を建てたいと思い続けました」と目黒さん。 約10年前に家づくりを決意。土地を探しながらさまざまなハウスメーカーを検討したが、求めていたのはより本格的な佇まい。

「ようやく見つけたのが「ハースストーン」のログハウスを手がける山一設計。当初はログハウスという発想は全然なかったのですが、本物の木の家が持つ力強さにひかれました」と目黒さん。これまであたためてきたイメージを伝えたところ、提案されたのが「ダブテイルログ」という工法。装飾性の高いダブテイルジョイントをノッチに採用しており、ログとログの間は塗り壁となる。室内の雰囲気が重厚になりすぎず、断熱材が入るので住宅としても快適性が優れているのが特徴だ。

ダブテイルログの場合、ログ間には伸縮性のある充てん材のパーマチンクを使用する。ところがパーマチンクには淡い色しかなく、目黒さんの求めるイメージではなかった。「わがままを言って、絵の具を混ぜてもらいました。1階は黒を下塗りして、赤を混ぜたパーマチンクをあえてむらが出るように塗ってあります」。その甲斐あって、シックに仕上がった空間は、これまで大切に集めてきた古い家具や本をしっかりと受けとめる、またとない背景となった。

「暮らしてみてわかったことですが、聴こえてくる音が楽器の音のように響くところも気に入っています」と目黒さん。古材を使った床の上を愛犬が歩く音、屋根の上を鳥が歩く音、屋根板を雨が打つ音……。この家が生み出すさまざまな要素が、目黒さんの暮らしを味わい豊かなものにしている。

ディテールをcheck!

左/ずっと動物と暮らしてきた目黒さん。現在はイヌ2匹、爬虫類2匹と暮らしている 右/奥行き210cmのゆったりとしたポーチは籐のチェアやベンチでしつらえた。穏やかな天気の日の朝はここで一服する

DATA

使用目的/自宅 家族構成/ひとり 使用ログ材/ウエスタンヘムロック(W15.2 × H35.5cm) 暖炉/ヨツール「I 200FL」+ブロック、カルチャードストーン 敷地面積/356.30m²(107.42 坪) 床面積/1F 87.87m²(26.27坪)、2F 62.79m²(18.93坪) 延床面積/149.93m²(45.20 坪) 総工費/4400 万円+税

取材・文/藤屋翔子、写真/志和達彦