ダイナミックなログを毎日眺めて暮らせる至福の時間を噛みしめる

長野県・下山さん ●設計・施工・輸入/(株)JIN

ログに古材を組み合わせたオリジナリティあふれる住まい

下山さんご夫妻がログハウスに出会ったのは、住宅展示場めぐりの帰り道。最初は興味がなかったが、見てまわるうちにだんだんと気持ちが傾いていった。決定打となったのが、軽井沢にある「新建築山荘」を訪れたことだ。「イエローシーダーを使ったハンドカットのログハウスで、無塗装なのに30年以上経っても木の香りに包まれていて驚きました」と目を輝かせて語る下山さん。耐久性に優れるイエローシーダーの無塗装をハンドカットで、と腹を固め、新建築山荘を造ったJINに建築を依頼した。

下山さんのこだわりは家の随所にある。ひとつ目は吹き抜けだ。1階から見上げたときにログの重なりを感じたくて、最初は予定していなかった小屋裏を設置した。ふたつ目は、木と異素材の組み合わせ。「丸太ばかりではおもしろくない」と、妻壁にコブルストーンを使い、階段や柵には鉄を合わせている。

3つ目は古材だ。「JINさんにラスティックな雰囲気にしてほしいと依頼したら、古材のキッチンや階段ができました。おかげでオリジナリティが生まれたと思います」と下山さん。古材は、レッドシーダーを数年風雨にさらしたJIN手作りの材料だ。朽ちた部分を削って加工することでひとつひとつの形状が違い、黒っぽい色と相まってログとはひと味違う雰囲気が生まれる。古材のキッチンは奥さまもお気に入りだ。

理想を詰め込んだログハウスだが、カナダから質の良い材料を輸入するには時間がかかる。なかなかでき上らず工期がのびたことに、奥さまはやきもきしたこともあるそうだ。「でも、完成したものはキッチンや階段の内装を含めて予想以上! それまでの不安が消えてしまいました」。

2019年7月に入居し、「暑い盛りでも家の中は涼しく、湿気もあまり感じなかった」と住み心地にも満足。迫力あるログをゆっくり眺める時間は唯一無二だという。ハンドカットのログに囲まれ、理想の生活を送っている。

ディテールをcheck!

左/2階のフリースペース。床材には、家具によく使われるアルダーを使用。1階に設置した薪ストーブから熱が伝わり、冬は2階まであたたかくなる 右/2階と小屋裏をつなぐらせん階段の板は古材。ひとつひとつ形や大きさが違うのもおもしろい

DATA

使用目的/自宅 家族構成/夫婦+子ども3 人 使用ログ材/イエローシーダー(φ 40cm) ストーブ/ヨツール「F500」 敷地面積/517.24m²(156.15 坪) 床面積/1F 105.42m²(31.82 坪)、2F97m²(29.28 坪) 延床面積/202.42m²(61.10 坪)

取材・文/上田里恵、写真/関根おさむ、細田健太郎