極太国産材の尺角ログが生み出す唯一無二の迫力と重厚感

窓から景色を愛でる、明るいダイニングで家族と食事する、趣味を楽しむ……。木のぬくもりに包まれた空間に、ライフスタイルを反映した工夫があれば鬼に金棒だ。何げない日常が輝く、居心地のいいログハウスを紹介しよう。

長野県・ポーラーハウス南軽井沢2 レイクガーデン

設計・施工・輸入/(株)JIN

ログハウスの魅力に目覚め貸別荘としても物件を建築

建物のあるレイクニュータウンは、湖のある別荘地。ブルー系の外壁が湖畔のイメージに似合う。建物の裏にはBBQもできるテーブルセットつきテラスがある。このログハウスは軽井沢の貸別荘として宿泊可能だ

湖やガーデンが広がり、別荘が立ち並ぶ南軽井沢に30cm角のログを使用したログハウスが完成した。ほかにはない太さの“尺角ログ”は、輸入資材が高騰するなか、国産のスギ材を活用したもので、大胆なハンドカットが人気のJINが手がけた、マシンカットのログハウスだ。

オープンLDKで構成された1階。リビングにそびえる尺角の柱は、周囲の大きめの家具類が小さく見えるほどの存在感とインパクトがある

このログハウスは貸別荘として運営されている。オーナーの齋藤さんは、自身の別荘物件探しの過程でJINの造るログハウスに出会ってその魅力に目覚め、縁あって貸別荘業を始めた。「それまではログハウスといえば、丸太でできた簡素な小屋というイメージでした。でも現代のログハウスは設備も整っているし快適そのもの。木の空間も心地良くて、のめり込んでいきました」と、ハマった魅力を語る。最初に出会った物件にはサウナもあり、高原のログ空間とともに“ととのう”ひとときを味わったことも、ログハウス滞在が特別になった理由のひとつだ。

30×28.5cmもの太さがある角ログは、積み重なるとさらに迫力が増して見える。太さ= 壁の厚みのため、遮音性や断熱性もさらに高まる

これまでほかにも新規物件も建てたが、その多くはJINに依頼。提案をおおむね採用しつつ、インテリアは自身で整えるスタイルで造り上げている。尺角ログ使用のログハウスはその重厚感に合わせ、ソファやダイニング家具もどっしり安定感のあるものを揃えた。グレーを基調にコーディネートした空間は大人っぽいしつらえで、自身も住みたいと思えるほどに気に入った仕上がりだ。宿泊用の施設ではあるが、齋藤さんは予約にあきがあると自身も宿泊してログハウス滞在を楽しんでいる。木に囲まれて過ごす休日はしみじみと木の良さを感じることができ、至福の時間となっている。

【  Detail  】

≪リビングダイニング≫

2階の窓が大きく、日中は吹き抜けから十分な光が入る。大人数が宿泊するので、2階とのコミュニケーションにも吹き抜けは役立つ
大きなシャンデリアはハワイで購入したもの。ハワイに1年ほど暮らした経験があり、また現在も折を見て海外に出かける。その機会を利用して物件に使用するインテリアを買い込むことが多い
1階は仕切りのないオープン空間。開口部を見ると角ログの分厚さを実感できる。国産のスギ材は節が少なく、ログ材の高さがあるため段数も少なく、すっきりとした印象
1階は入口を入るとリビングがあり、続いてダイニング、さらに奥にはもうひとつのダイニングテーブルを置いたキッチンが並ぶ間取り。家具はどれも4~6人用で、宿泊の定員は10人となっている
ダイニングには丸みを帯びた三角形のテーブルを設置。キッチン横の掃き出し窓からは、家の裏手にあるデッキに出ることができる

≪2階ホール≫

開放感のある2階ホール。右側の壁に備品のプロジェクターで映画や動画を投影して楽しむことができる。椅子はすべてソファベッドで、夜は寝室として機能
2階の内壁はJINらしいザラリとした表面仕上げのレッドシーダーを使用している。ラスティックな雰囲気を残しつつも、塗料を塗ることで肌当たりをやわらかくすることができた
2階に2部屋ある個室は寝室。入口の無垢材の扉には部屋番号のサインをつけた。壁色を塗ることで、オール木材でも見た目に変化ができ、しゃれた印象になった

≪寝室≫

ホールを中心に建物の左右にある個室は、それぞれベッドが3つずつ並ぶ
2階のシャワーブースの横には隠れ家風の小さな個室もある。低い天井はこもり感があり、ゆっくり眠りたい派には最適。窓もあるので閉塞感は感じない

≪サニタリー≫

1階の洗面スペースは無駄のないシンプルなデザインで、グレーをメインにしたホテルライクな仕上がり。水まわりの床は水ぬれに強いスレートタイルを使用した
左/1階にある浴室。天井のみ木製で、それ以外はメンテナンスしやすいタイル仕上げ。大人数が宿泊する想定の施設のため、2階にもトイレとシャワーブースを用意している 右/1階トイレも洗面空間と同じく、黒やグレーの床やカウンターでコーディネートし、ログハウス全体でカラーコーディネートを統一している

≪外観≫

レイクガーデンほか、近辺に複数のログハウスやコテージを宿泊施設として持つオーナーの齋藤さんと、運営管理するスタッフのみなさん
外観は2トーンのブルーと白の3色で統一。屋根は白く、夏でも雪の季節を連想させる。2階両側は寝室用に広い空間を確保するため、シェッドドーマーに
窓や玄関ドアなど、開口部を縁取る濃い青のアクセントカラーが効いている

【DATA】 ●使用目的/簡易宿所 ●工期/ 2023 年10 月~ 2024 年6 月 ●構造/丸太組み構法(スクエアノッチ)、地上2 階 ●使用ログ材/スギ(W30×H28.5cm) ●外壁の塗料/三井化学産資 ノンロット(2 回塗り) ●内壁の塗料/無塗装 ●基礎/ベタ基礎 ●ストーブ/メトス ピキャンオーブン ●床面積/1F 58.80㎡(17.78 坪)、2F 52.40㎡(15.85 坪)、延床面積 111.20㎡(33.63 坪) ●設計・施工・輸入/(株)JIN https://jin-inc.co.jp/ TEL 0267-31-6869

取材・文/魁生佳余子、写真/関根おさむ