構造から調度品までこだわった本物のオールド・アメリカン・ログ
福岡県・Yさん ●設計/(株)山一設計 施工/(株)ティーエージー、㈲権藤工務店
伝統的なアメリカの構造を手仕事で再現
Yさんが住まいに選んだのは、日本では珍しいデザインの「ダブテイル」のログハウス。ハトの尾を意味するダブテイルとは、ログ材を組むためのノッチの名前で、古い時代からあるアメリカの伝統的な加工法だ。
Yさんはログハウスについて調べるうち、ダブテイルのログハウスにめぐり合う。削り跡を残した角材を積み上げ、間に白い左官材を詰める独特のデザインは、Yさんの心をガッチリつかんだ。「大好きな古いアメリカの雰囲気を持つログハウスを見て、これしかない! と思ったんです」と語るYさん。「古びた佇まいでありながら、住宅としての性能は高いと聞き、ますます気に入ってしまいました」。
時代設定を、自身がいちばん好きな時代である1920年代に定め、当時の雰囲気を演出。建具や設備機器にもアンティーク製品を採用し、大きな窓は少なく少し、あえて暗い雰囲気の室内にするなど「使い勝手が犠牲になった点も少なくありません」というほど、デザイン面のこだわりをしっかり形にしていった。個性的な壁の質感に合わせて、屋根はシーダーシェイク仕上げに。完成したログハウスは、室内外ともに「これが本当に日本の住宅か?」と思わせる、オリジナリティあふれる仕上がりになった。
ダブテイルのログハウスの大きな特徴は、やはり超個性的な壁のデザイン。ザラッとした木の壁は、2面を平らにカットした丸太の表面を1本1本チョウナで削ったもの。丸太壁以外はオークの古材仕上げを採用した。
キッチン壁のレンガや一部の床材にも古材を取り入れ、1920年代のイメージを再現。以前から愛用したり、集めたりしていたアンティークの建具や金具、家具などを合わせて、唯一無二のインテリアが完成した。「室内ドアはアンティーク、玄関ドアはオーダーメイドにアンティークの金具を組み合わせました」とYさん。時間とともに深みを増す経年変化も、暮らしのなかの楽しみのひとつだと教えてくれた。
DATA
使用目的/ 自宅 家族構成/ 夫婦+子ども1 人 使用ログ材/ スギ、マツ(W15.2×H30.4cm) ストーブ/ バーモントキャスティングス「アンコール」 敷地面積/ 220.95㎡(66.83 坪) 床面積/ 1F98.28㎡(29.72 坪)、2F 57.62㎡(17.43 坪) 延床面積/155.90㎡(47.15 坪) 総工費/ 3890 万円+税
取材・文/たむらけいこ、写真/河内俊彦
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