サウナや薪ストーブなどオーナーの趣味を形にしたログ好きな仲間が集う基地

「こんなログハウスを建てたい」と夢をふくらませるのは楽しいものだ。ゼロから考えるのもいいが、参考例があれば発想がふくらんでベストな形が生まれやすくなる。自分なりにアレンジするのももちろんアリだ。日々の暮らしを幸せにしてくれる、「まねしたくなる秀逸アイデア」を紹介しよう。

山梨県・平井さん

設計・輸入/(株) ホンカ・ジャパン 施工/(有)KIGUMI

総二階建てのログハウス、フジヤマログベース。平井さん個人が所有する建物だが、ログハウスファンの集いの場として活用している

週末になると車を走らせ、山中湖村にあるログハウスに向かうのが平井さんの習慣だ。「ここは別荘というより、ログハウス好きな仲間が集まる基地。みんなで一緒に楽しめる場をつくりたかったんです」と平井さん。「フジヤマログベース」と名づけたこのログハウスは、主にフェイスブックで募集した仲間とともに楽しんでいる。

まるでカフェのようなカウンター席からは、大きな窓から景色が眺められる。キッチンに立つオーナーでなく、ゲストが眺望を楽しめる配置なのが特徴

間取りの特徴は、車や薪ストーブ、料理、サウナといった平井さんの多彩な趣味を反映していること。「ログハウスファンには僕と共通の趣味の人が多く、ゲストと一緒に趣味を語り合ったり、楽しんだりするのが僕の喜びなんです」と平井さん。

ガレージ前で仲間が集まり焚き火で焼きマシュマロを楽しむ。時には車好きが集まり車を眺めながらのんびりする空間に
「フィンランドサウナが自宅にあると、好きな温度、好きなタイミングでセルフ・ロウリュできるのが最高ですね」。サウナ浴を楽しむ平井さん、chorobearさん、わたなべさん。この3人がフェイスブック「フジヤマログベース」を立ち上げ、運営している

カフェやバーベキュー、木工などのイベントを開くこともあるが、イベントなしで思い思いにログハウスでの暮らしを楽しむことも多い。ログ建築を検討中の人も含め、メーカーの垣根を超えてログ好きなら誰でも参加可能なところがポイントだ。平井さんは20代からログハウスにほれ込み、結婚前の奥さまとのデートも毎回ログハウスのカフェやレストランだったという筋金入りのログ好き。そんな長年の思いを形にしたのがこの家なのだ。

幅2m、高さ2.1mの大きなFIX窓から外の景色が眺められるダイニングは平井さんお気に入りの場所。特等席用にベンチを手作りした

1階キッチンに設けた大きな窓は、カウンター席に着いたゲストが眺望を楽しめる配置にしてあるのが象徴的だ。また、2階の床面積を確保するためリビングは吹き抜けにせず、代わりにキッチンより床を下げたスキップフロアと大きな窓を組み合わせることで心地良い開放感を演出。壁や家具、建具に黒を多用してスタイリッシュな空間に仕上げた。2階はサウナを含むサニタリーと外気浴ができるバルコニー、大人数が泊まれる和室、主寝室、納戸という構成。目的にかなう設備と間取りを備えたこのログハウスは、これからもログハウスファンの遊び場として活躍し続けることだろう。

【  Detail  】

≪カウンター席&キッチン≫

キッチンは床を一段下げ、カウンター席に着いた人と視線が合うように。会話しやすくなるほか、窓から景色が眺めやすくなる利点も
階段の間仕切り壁は磁石がつく石膏ボードで仕上げた。これまでにフジヤマログベースを訪れたログファンたちの記念写真がずらり
分厚い一枚板のカウンターで、端正なマシンカットログハウスの中に野性的な雰囲気をプラス。遊び心のあるセレクトが楽しい
カウンター席側とキッチンの床、リビングダイニングの床の段差は各18cm。リビングダイニングの天井高は2.8mもあり、スキップフロアにすることで視線や開放感をコントロールしている
カウンター席の背面にあるパントリーは、引き戸を閉めると簡単に目隠しできる。「生活感はしっかり隠したかった」と平井さん
こだわりの木製窓。縦横2方向に開閉できるドレーキップタイプ。木製だから寒冷地でも結露がなく、ガラスはアルゴン入りのLow-Eガラスを採用。高温になるサウナ室の窓にも使用している

≪リビングダイニング≫

薪ストーブはリビングだけでなく、ダイニングやキッチンからも眺めやすい絶妙な場所に設置。炎を見詰める静かな時間を楽しめる
1階は壁や建具、家具に黒を多用して、コントラストを効かせたスタイリッシュな空間に。「黒色は、点ではなく面でとらえ、バランスを考えてあげるとまとまりやすくなります」
石目調タイルを敷いた炉台は、フローリングとの段差がなくフラットに仕上げたのが特徴。「その方がつまずくことがないし、部屋が広く使えるんです」と平井さん

≪主寝室≫

2階の奥にある主寝室は、ベッドより宿泊人数の調節がしやすい小上がりの畳スペースになっている。2階には、こことは別に6畳の和室も

≪バルコニー≫

2階にはサウナと外気浴ができるバルコニーを設置。外の風を感じながら火照った体を冷ますことができる

≪外観≫

富士山をのぞむロケーションに佇むフジヤマログベース。令和3年度ログハウス建築コンテストで審査員特別賞を受賞している

【DATA】 ●使用目的/別荘 ●家族構成/夫婦+お父さま ●使用ログ材/欧州アカマツ(W 11.2×H 19.1cm) ●ストーブ/HITA「アンビション」 ●敷地面積/585.13㎡(177.00坪) ●床面積/1F 87.60㎡(26.50坪)、2F 51.60㎡(15.60坪)、延床面積 139.20㎡(42.10坪) ●総工費/3820万円+税