夏も冬も心地良く心からリラックスできるログハウス暮らし

ログハウスは建てて終わりではなく、生活の楽しみを受けとめ、ふくらませる大きな器のようなもの。家族と一緒に歴史を刻み、より魅力的になってく。オーナーによってそれぞれ異なる好みを反映して生まれた魅力的な住まいと、その暮らしぶりを紹介しよう。

山梨県・長谷川さん

設計・輸入/㈱ホンカ・ジャパン 施工/㈱アークティックホーム

ログハウスに暮らして、本当によかった

大きな三角屋根のマシンカットはフィンランド製。赤と白を組み合わせたカラーリングは伝統的ながら、どこかモダンな印象もある

長く東京に暮らしていた長谷川さんご夫妻は、昨春からログハウスでの暮らしをスタートした。当初は東京とここを行ったり来たりの二地域居住を予定していたが、コロナ禍でリモートワークがメインになったことから、思い切って東京の自宅を引き払って移住した。

どの場所からも外の景色が眺められる大きなひと間のLDK。木口の面取りや見切りの使い方などの丁寧な処理に大工の職人技が見える

「住んでみてログハウスの良さを実感しています。ログ以外の家なんて、もはや考えられない」と口を揃えるのは、分厚いログ壁と木製のトリプルサッシのおかげで夏は涼しく冬あたたかく、木の香りのおかげもあってか、とてもよく眠れるようになったという。 「この夏もエアコンを使うことはほとんどなくて、真冬に薪ストーブを焚けば、朝起きても室温が20℃を切ることはありません。2階なら半袖で過ごせるくらい。断熱性の高さを肌で感じています」

左右に吹き抜けを配した中央はオープンなホール。天気が良ければ正面に富士山が見られる。このほか2 階にはふたつの個室とトイレがある

仕事や観光で幾度も訪れた北欧の暮らしにひかれたこともあって選んだログハウス。絶対ログハウスを建てる! とまでは思っていなかったものの、今は選んで大正解だった、というおふたり。加えて、周囲の豊かな環境もあり、ここは心からリラックスできる場所になった。

ディルをあしらったサーモンキッシュは、もちろん手作り。奥さまは紅茶やお菓子づくりも学んでいる

「もともと『木』が好きなんです。触っているだけで癒されるし、子どもの頃から木工も好きだった。今はウッドクラフトを習おうかな? と思っています」とご主人。「なぜか、ここに暮らしていると、何でもできそうな気がしてきちゃう。以前からの趣味であるカメラも、ここにいると被写体に事欠かないし、庭づくりも始めました。そして、ここを人が集まる場所にしたいという夢も持っています」と奥さまは楽しそうに言う。「北欧には「FIKA」(フィーカ)という文化があります。甘いお菓子や軽食を食べてお茶を飲んで、また仕事に集中するための休憩のこと。ここで、そんな風に人をもてなせたら素敵だな、と思っています」というふたりのログハウス暮らしは、忙しくてとても楽しい。

【  Detail  】

≪ウッドデッキ&外構≫

左/花の庭づくりをスタート。「バラやハーブを植え始めて、これからが楽しみです」と奥さま。花壇は近所のホームセンターで入手した資材で手作りした 右/北欧のログハウスをお手本に、壁の色は迷わずスカンジナビアンレッドを選んだ。広いウッドデッキは、庭の景色をたっぷり楽しめるように、シンプルな手すりを採用している
庭の作業小屋も、ログハウスに合わせて赤色の壁と白い枠を組み合わせ。周囲の緑と赤色の相性もいい
庭仕事の道具などを収納。「都心のマンション暮らしが長かったので、毎日のように土に触れて暮らす日が来るなんて……。とても楽しいです」

≪リビングダイニング≫

左/LDKの大部分を高い吹き抜けにした。1階にLDKと主寝室、2階はホールとゲストルームを設けた、シンプルでゆったりとした間取り 右/4つのパーツを張り合わせたログ材は、134×260mmの大サイズ。この分厚さが、高い断熱性を実現している
ストーブ炉台は大谷石。白っぽいやさしい色合いがログハウスによく似合う。赤いストーブ、ラグとも相性バッチリ
ダイニング上部も吹き抜けにして、テーブルからもキッチンからも外を眺められるように窓を配置した
白いシステムキッチンの奥に、パントリーとサニタリーを配置。2階の個室に設けた小さな室内窓が、いいアクセントになっている

≪寝室≫

1階の主寝室。左側の壁一面にクローゼットを設けた。「ログハウスって、なぜかとてもよく眠れるんですよ」
窓はすべて内開きと内倒しができるドレーキップ。内倒しは換気に便利で北欧ではポピュラー。枠は木製、ガラスはトリプル
ネコが出入りする部屋のドアには、ネコ用出入口を。室内建具はフィンランドからの輸入と、日本で職人に作ってもらったものを用途やデザインに合わせて、上手に組み合わせている

≪階段&2階≫

ログハウスには、「あずき」と「もなか」、2匹のネコが暮らしている。梁づたいに移動できるキャットウォークは2 匹の遊び場。ログハウスには、こんな遊び心が似合うし、壁が分厚いので取りつけも簡単だ

≪サニタリー≫

ビビッドカラーのタイルを組み合わせた1階と2階のトイレ。ゲストが2階だけで快適に過ごせるよう、赤いタイルの2階のほうを広くしているのがポイント

【DATA】 ●使用目的/自宅 ●家族構成/夫婦 ●使用ログ材/パイン(W13.4×H26cm) ●ストーブ/バーモントキャスティングス「デファイアント」 ●敷地面積/ 1121.69㎡(339.91 坪) ●床面積/ 1F 105.09㎡(31.79 坪)、2F 70.84㎡(21.43 坪)、延床面積 175.93㎡(53.22 坪)

取材・文/たむらけいこ、写真/関根おさむ